2013 Fiscal Year Research-status Report
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24730771
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Research Institution | Tenri Health Care University |
Principal Investigator |
近藤 恵 (有田 恵) 天理医療大学, 医療学部, 助教 (40467402)
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Keywords | 病弱教育 / 医教一体体制 / トータルケア |
Research Abstract |
本研究の目的は、ターミナル期にある子どもの「生を支える」という観点から、「医教一体体制」のモデルを提案することである。具体的には、①子どもホスピスを中心とした小児ターミナル期トータルケアの体制、②病弱教育体制(担当教員の養成・カリキュラム作成)について調査・研究し、よりよい病弱教育システムの開発を目指す。研究にあたっては、国際比較の観点を用いる。つまり、日本と同じような問題を抱えつつも子どもホスピスの設立や医療と学校教育の連携を積極的に行っている先進的な福祉国家・ドイツとスウェーデンを調査し、子どもホスピスや、病弱教育における教員養成の理論が日本で応用できるのかどうかを検討する。 本年度は、目的①のトータルケアの体制について重点的に研究を行った。具体的には、①国内の病弱教育対象者とその家族へのアンケート調査、②翻訳本の分担、③医師、教育者、当事者によるシンポジウムの開催。①病弱教育対象者とその家族へのアンケート調査については、2013年より1年かけて院内学級において当該児とその家族及び担任についてのアンケート調査を行い、現在分析中である。②翻訳については、米国の小児がん患者の母親が出費つした本を分担翻訳し、出版した。また、病弱教育システムの開発の観点から英国の病弱教育担当者向けマニュアルを現在、翻訳中である。③医教一体体制のモデル考案の観点から、小児がん患者の母親、小児緩和医療の医師、病弱教育担当の教員、それぞれの立場から現状と課題を報告し、今後の体制について提言を行うシンポジウムを開催した。その結果、今後、在宅治療や治療拠点が都市に集中する等の治療体制の変更に伴い、病弱教育を担う教員の役割が教科学習に留まらず、「繋ぎ」としての役割が重要になることが予想され、連携システムの構築が喫緊の課題であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、ターミナル期にある子どもの「生を支える」という観点から、「医教一体体制」のモデルを提案することである。具体的には、①子どもホスピスを中心とした小児ターミナル期トータルケアの体制、②病弱教育体制(担当教員の養成・カリキュラム作成)について調査・研究し、よりよい病弱教育システムの開発を目指すことである。 本年度は①及び②のうち、我が国の現状について、医療者、教育者、当事者の聞き取り調査及びそれを基にした情報提供を行うことができたため、システム構築の準備が整ったため、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては、初年次に行ったシンポジウムをもとに、我が国における医教一体システムの提案を行うため、本の執筆と学会発表を予定している。 また、初年度に実施できなかった比較対象国であるドイツ及びスウェーデンでの現地調査を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画時に予定していた初年次の海外調査が行えなかったために、海外調査費として計上していた予算を繰り越すこととなった。その理由としては、国内での調査が計画よりも順調に進み、国内調査のまとめをシンポジウムとして公表した方が研究にとって有益であると考えたため、海外調査を延期したためである。 次年度には、長期海外調査を行い、初年度にまとめた国内調査との比較を行う。
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