2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24740003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
岸本 崇 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20372576)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | log uniruled / France (Dijon) / unipotent group / affine cones / France (Grenoble) |
Research Abstract |
平成24年度は2つの方向で,高次元アフィン代数多様体の構造の研究を進めることができた.(以下の(1), (2)) (1) まず,Mikhail Zaidenberg教授(Fourier研究所・フランス)とYuri Prokhorov教授(Moscow大学)との共同研究で,polarized variety上のアフィン錐へのユニポテント群作用の存在性の判定方法の改良版を射影幾何学の視点から与えることに成功した.アフィン代数幾何学ではユニポテント群作用は中心的な話題であり,代数的には座標環の局所冪零微分(LND)という概念に翻訳することができる.しかしLNDの視点から,ユニポテント群作用の存在性を解析することは,複雑な多項式計算を強いられることが多く困難がつきまとう.しかし,共同研究ではアフィン錐の下のpolarized varietyのある種の幾何学的な性質がユニポテント群作用の存在に本質的に関連しているということを解明した. (2) 2次元アフィン代数多様体(affine surface)の理論では,ユニポテント群作用の存在は,ログ単線繊的(log uniruled)という性質と同値であるということがしられている.大雑把に言えば,log uniruledであるとは,各点を通るアフィン直線が存在するということである.この事実は果たして高次元の場合も成り立つのであろうか?という問題は自然だと思われるが,長年その解答は知られていなかった.今回,Adrien Dubouloz教授(Bourgogne大学・フランス)との共同研究によって,log uniruledである3次元アフィン代数多様体で,ユニポテント群作用を持たない例を具体的に構成することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では極小モデル理論の視点から,高次元アフィン代数多様体の構造を理解することを目標にしていた訳であるが,平成24年度では,Mikhail Zaidenberg教授-Yuri Prokhorov教授,Adrien Dubouloz教授との共同研究を通して,当初の目標は概ね達成することができた.実際に,先述した「研究実績の概要」の項目に於ける(1), (2)いずれの研究も結果自体はアフィン代数幾何学の範疇であるが,(1)の場合には特にdel Pezzo曲面や3次元Fano多様体上のアフィン錐へのユニポテント群作用の存在性を解析する際に,極小モデル理論の視点からの考察(とくに,Sarkisovリンクや,log canonical thresholdというテクニック)を適用した.一方(2)に於いては,log uniruledでありながらユニポテント群作用を持たない3次元アフィン代数多様体を構成する際に,非特異3次曲面の族と3次元非特異3次代数多様体の非有理性を適用した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究の進展を受けて,研究課題の今後の方向性であるが,「研究実績の概要」の項目の(1), (2)に即して説明をする.(1)については,平成24年度は主に3次元Fano多様体と呼ばれるある種の森ファイバー空間(MFS)上のアフィン錐へのユニポテント群作用の存在性を考察してきたが,平成25年度(以降)は別の種類の3次元MFS(より正確にはdel Pezzoファイブレーション)上のアフィン錐へのユニポテント群作用について考察を進めていきたいと思っている.Fano多様体と比較すると考察は複雑になることが想像されるが,Mikhail Zaidenberg教授,Yuri Prokhorov教授の双有理幾何学の経験・知識によって,進展は期待できると思われる.一方(2)については,平成24年度に得られた結果は3次元非特異3次代数多様体の非有理性と呼ばれる古典的ではあるが非常に強力な結果を使用して特殊な例を構成するというものであったが,より一般的に理論を展開する為には汎用性のある新しいテクニックを開発することが望ましい.その為には3次元の場合であっても,線形束の基底点の解消を明示的に記述する方法を模索する必要がある.2次元の場合には,線形束の基底点解消は比較的容易であるが,3次元になると一般には非常に複雑であり全ての線形束の基底点解消を具体的に記述することは合理的ではないが,非特異なメンバーを含む線形束の場合にはある程度,明示的に解消のプロセスを実行することが可能であると思われる.具体的に線形束が解消できれば,その後に極小モデルプログラムを明示的に記述することもできるのでより詳細な構造解析が可能になるものと期待している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし.
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