2015 Fiscal Year Research-status Report
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24740004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 寛通 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (30322150)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Q-Fano 3-fold / 端射線の理論 / 一般型曲面 / 非有理的多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,高々1/2(1,1,1)-特異点しか持たないprime Q-Fano 3-foldの分類を手掛けた.およそ16年前に,種数2以上の場合の可能性の分類とそれらのほとんどの例の構成を行ったが,本年度手掛けたのは残っている場合,すなわち,種数1以下の場合である.可能性の分類は済んだ.この部分は,森重文氏の端射線の理論に基づく数値的計算で決着が付く.種数2以上の場合よりも扱いが少々難しかったがリーマンロッホの定理で切り抜けることができた.例の構成については,射影幾何的考察が深く入り込んでくる.この部分は,種数2の場合よりずっと難しいことが分かり,まだ完成していない.それでも多くの興味深い例を構成をした.例えば,3次元射影空間の二重被覆で4次曲面で分岐するものと双有理同値なものがいくつか構成できた.出てくる4次曲面が9つの通常2重点を持つものが大勢を占めており,それらが非有理的であるかどうかという興味深い問題が浮上した.また,2重反標準因子として,幾何種数の小さい一般型曲面が得られるものが多くあり,そのような曲面の良い例も与えてくれる.次年度も引き続き研究を行っていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Q-Fano 3-foldの分類を目標に掲げて研究を続けている.今年度分類を考えたQ-Fano 3-foldは特別なものであるが,一般のQ-Fano 3-foldの良いモデルとしての役割も担うのではないかというビジョンも見えてきた.具体的に言えば,一般のQ-Fano 3-foldは特異点の指数が大きいため分類に困難が生じるが,今年度,分類を考えたQ-Fano 3-foldの特異点の指数は2であり,その点が扱いやすい.そこでこの場合に一般の場合の分類を帰着できれば,Q-Fano 3-foldの全体像が見えてくることが期待できるということである.実際,このようなビジョンは,種数が2以上の場合にはかつてある程度成功した.Q-Fano 3-foldの全体像(特に種数が1以下のもの)は,その数が非常に多いため,未だ見えていないが,今年度のように,一部のQ-Fano 3-foldの分類を積み重ねていくことで見えてくると思う.そういう意味で,本年度は分類に向け順調に研究ができた.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,本年度手がけ始めた高々1/2(1,1,1)-特異点しか持たない種数1以下のprime Q-Fano 3-foldの分類を完成させる.具体的かつ丁寧に3次元の双有理幾何を展開することによってこの問題を解決する.さらに,それらのQ-Fano 3-foldについて,種数の条件は外したうえで,反標準環によって定まる重射影空間に埋め込み、その方程式の記述問題を解決する.これは,現在までの進捗状況で述べた一般の場合の分類をこの場合の分類に帰着させるプログラムにおいても重要である.この際,マイルス・リード氏の開発した逆射影法などが有効であると考えている.また,イタリア,ウディネ大学のフランチェスコ・ズッコーニ氏とのQ-Fano 3-foldに関する共同研究を遂行するため,ウディネ大学を訪問する.
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Causes of Carryover |
当初は,以前共同研究を行っていたイタリアのウディネ大学に勤務するフランチェスコ・ズッコーニ氏と共同研究を続行するため夏季休業中にイタリアに渡航したり,研究成果の研究発表のため海外渡航したりして,研究費の多くを海外渡航費に充てる予定であったが,夏季休業中に別の予定が入るなどして渡航が不可能となってしまったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記で述べたフランチェスコ・ズッコーニ氏との共同研究が再開している.現在,e-mailによって共同研究を進めているが,最終的には実際に会って研究連絡する必要があるため,夏季休業中に,ズッコーニ氏の勤務するイタリアのウディネ大学を訪問して,共同研究を遂行する予定である.
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Research Products
(4 results)