2012 Fiscal Year Research-status Report
セルバーグ跡公式による明示的次元公式を軸とした保型形式の対応予想の研究
Project/Area Number |
24740014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
北山 秀隆 和歌山大学, 教育学部, 講師 (20622567)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 整数論 / 保型形式 / 次元公式 |
Research Abstract |
SL(2;R)とSU(2)の保型形式の空間の間にはL関数を保つ同型対応が存在することが知られているが、この対応を高次のSymplectic群の場合に拡張しようとする研究が主に跡公式を用いて行われてきた。しかし、知られている予想はどれも素数レベルの場合に限られていて、レベルの拡張は行われていなかった。本研究計画の目的は、今まで行われていなかった一般化されたレベルにも範囲を広げ、より詳細な研究を展開することである。この方向での研究の鍵になるのは保型形式の空間の間での次元の比較であり、そのための明示的次元公式をSelberg跡公式から導出する研究をレベルを拡張して実行する。 前年度から対応予想の離散群のレベルを拡張する研究を一部既にスタートさせていたが、今年度はまずその研究を更に進展させた。具体的には次の通りである。(1)昨年度までに既に得ていた「平方因子を持たないレベルのパラモジュラー群についてのベクトル値ジーゲルカスプ形式の空間の次元の明示公式」と「Sp(4;R)の非分裂型Q形式に関するベクトル値ジーゲルカスプ形式の空間の次元の明示公式」とを比較し、2つの間で成り立つ明示的な関係式を得た。(2)次にパラモジュラー新形式の空間の次元を考察し、より正確な意味での次元の関係式に書き換えた。(3)それを根拠として両者の空間の対応、およびリフトの予想を提唱した。加えて、その予想を支える為にL関数のオイラー因子の数値実験を行い、一致を確認した。 これらの結果は近日中に論文として投稿する予定である。また、素数冪レベルのパラモジュラーについて次元公式の研究を開始し順調に進展した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに得ていた結果はより詳細まで発展し、今後の研究の見通しはかなり明るくなった。予定していた素数冪レベルのパラモジュラー群についてのジーゲルカスプ形式の明示的次元公式の研究は予定通り実行できた。当初計画よりもより効率的な計算手法を用いているため、研究は当初計画以上に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度にパラモジュラー群について明示的次元公式の研究を行った。それは近日中に完了する。今後の研究では、Sp(4;R)のそれ以外のパラホリック型離散部分群を対象とする。レベルの拡張についての研究手法のノウハウは既に今年度までに得ている。その手法を用いて順調に進行することはほぼ間違いないと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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