2014 Fiscal Year Research-status Report
次数2の実解析的ジーゲル保型形式のL関数と構成に関する研究
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24740016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森山 知則 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80384171)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 整数論 / 保型形式 / 分岐則 / 保型L函数 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、(1)Maass形式の双曲的フーリエ展開の論文の執筆、および、(2)実解析的Eisenstein級数の生成する表現の構造の研究を主に行った。 (1)に関して: 研究代表者が以前指導した修士課程院生の前田恵氏による修士論文「Maass形式の双曲的Fourier展開と5点に特異点を持つ2階Fuchs型方程式」(日本語)を英文にし、さらにこの論文の計算の背後にリー群の表現の内部テンソル積の分解(Zuckermann tensoring) があることを説明したプレプリントを作成した。これは、本研究課題の「リー群の表現の分岐則の具体的な記述を保型形式の理論に応用する」という方策の雛形ともいえる研究である。しかも特殊線形群SL(2,R)という最も簡単な群ですでに非自明な興味深い現象が起きており意義深い。 (2)に関して: 保型L函数の特殊値を積分表示を用いて調べる際に、実解析Eisenstein級数の複素パラメータを整数値に特殊化して得られる概正則な保型形式が有効に用いられることはよく知られている。たとえば、研究代表者が当該年度に指導した太田旭光氏の修士論文においても、Rankin-Selberg L函数の臨界値のうち函数等式の中心に最も近いものが新たにいくつか求められた。概正則な保型形式を特殊値への応用を念頭に表現論の立場から調べるのは、自然かつ生産的な方向と思われるが、詳細な研究がされるようになったのは意外にも比較的最近のことのようである。そこで、研究代表者も上記の太田氏の計算過程を表現論を用いて洗練させることを念頭に、実解析的Eisenstein級数の生成する加群の構造について準備的な検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文の執筆が比較的順調に進んだこと、およびL函数の特殊値の研究と本研究課題の手法的な共通点に気付いたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた成果を論文にまとたり、研究集会で口頭発表し近隣研究者との意見交換・情報交換を行う。保型形式の構成の研究に関しては、具体的な状況でこれまでより直接的な計算による手法も併用して研究を進める。
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Causes of Carryover |
研究打ち合わせが、先方及び当方のの学内業務により短縮されたり延期されたりしたため。また、大学が新たに契約した電子書籍により書籍の購入費が抑制できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究集会参加や研究打ち合わせのため旅費を使用する。また、研究の進展に応じて関連書籍の購入や数値計算のためのコンピュータ環境整備にも使用する予定。
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