2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24740019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三枝 洋一 京都大学, 白眉センター, 准教授 (70526962)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Rapoport-Zink空間 / 局所ラングランズ対応 / 非可換ルビン・テイト理論 / エタールコホモロジー / リジッド空間 |
Research Abstract |
平成24年度には,GSp(4)およびGU(3)という比較的小さい群に対応するRapoport-Zink空間のl進エタールコホモロジーについての研究を進めた.まず,リジッド空間に対するLefschetz跡公式を適用することで,これらのl進コホモロジーの交代和にLパケット間のJacquet-Langlands対応が現れることを観察することができた.この研究は以前より継続して行ってきたものであるが,本年度でひとまず完成といってよい形となった.この結果はガロア群の作用を無視しているため,単独ではやや弱い結果ではあるが,大域的な手法と合わせることで,コホモロジーに現れる表現を絞り込むための必要不可欠な道具の一つとなるはずである.また,この研究によって,安定共役類の理論とp進Hodge理論の間に密接な関係があるであろうという予測を立てることが可能になった.この関係については今後の研究課題である.さらに,この研究の途中でRapoport-Zink空間の新しい整モデルが得られたが,これは今後の研究においても有効に活用されると思われる. また,Rapoport-Zink空間のl進コホモロジーとZelevinsky対合の関係についての研究も実施した.GL(n)の場合のFarguesによる結果を参考にして,GSp(4)やGU(3)のRapoport-Zink空間のl進コホモロジーの尖点部分に自然にZelevinsky対合が現れることが証明できた.これの応用として,GSp(4)の場合は2次の,GU(3)の場合は1次のコホモロジーの尖点部分が0になることが証明できる.また,GSp(4)の場合は4次,GU(3)の場合は3次のコホモロジーに現れる非緩増加表現についても有益な情報が得られる(Arthur予想に基づく大域的な考察と整合的になっている).この成果は,今後のより詳細な研究の道標となると期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず,Lefschetz跡公式を用いた研究が完成したことで,Rapoport-Zink空間のコホモロジーと局所ラングランズ対応の関係を調べるという目標に向けて一歩前進したといえる.また,Kottwitz予想の精密化のための強力な道具となる,Zelevinsky対合に関する結果を得ることができたため,次年度以降の研究の大きな足がかりができたと感じている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の特徴は,大域的な手法と局所的な手法を相補的に用いることである.平成24年度には局所的な側を重点的に考察したため,今後は大域的な手法により力を入れていきたい.GSp(4)の場合にはまだよく分かっていないことも多いので,比較的簡単な場合であるGU(3)の場合から始めるつもりである.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
継続的な情報収集のため,大部分は国内外への出張旅費として使用する予定である.これ以外に,図書をはじめとする消耗品の購入を計画している.
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