2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24740022
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
黒田 茂 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (70453032)
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Keywords | 局所冪零導分 / 高階導分 / 線形化問題 / 多項式自己同型 / アフィン代数幾何学 |
Research Abstract |
局所冪零導分はアフィン代数幾何学の諸問題の研究で非常に重要である.本年度は高階導分への拡張を視野に,局所冪零導分に関連する研究を行った.また,関係性が判明した「線形化問題」にも取り組み,重要な進展を得た. 有理数体を含む可換環Aにおける局所冪零導分Dに対し,指数自己同型と呼ばれるAのker(D)上の自己同型が定義される.同じDを利用してker(D)上の様々な指数自己同型を構成できるので,Aのker(D)上の自己同型のうち,非指数自己同型がどれくらい存在するかが問題となる.多項式環の自己同型群の研究とも密接な関係があるが,これまで系統的な研究はなされていなかった.今回,この問題に関して色々な成果を得た.例えば,Aが一定の条件を満たすUFD(体上の多項式環も該当する)のとき,Aのker(D)上の非指数自己同型の位数は常に有限であることなどが分かった.ところで,多項式環の有限位数自己同型の線形化問題は,「上林の線形化問題」の非常に難解な場合として知られている.3変数以上ではほとんど進展がなかったが,前述の結果を受けてこの問題にも取り組み,3変数多項式環の自己同型で変数を1つ固定するものの場合について肯定的に解決した(高階導分の手法を応用).さらに,線形化問題の結果を利用し,Aが多項式環の場合のker(D)上の非指数自己同型の存在と,Dの三角化可能性の関係についての結果も得た.これらの成果の一部は多項式環論セミナーや日本数学会,可換環論シンポジウムなどで発表した. 別の活動として,3月にEricEdo (University of New Caledonia)を招聘して多項式環の自己同型群に関する共同研究を行い,ind-varietyの観点から捉えた場合の順部分群の「大きさ」等に関して新たな結果を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非常に難解な未解決問題として知られている「多項式環の有限位数自己同型の線形化問題」において重要な進展が得られた.また,局所冪零導分に関しても様々な新しい成果が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度,平成25年度に引き続き,国内外の関連分野の研究者たちと交流しながらアフィン代数幾何学の諸問題に取り組み,高階導分の手法の応用可能性を探っていく.最終年度なので,これまでの研究成果の総括も行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は研究集会の開催状況等の関係で国内出張が少なく,海外出張も行わなかったために研究費の支出が抑えられた. 平成26年度は,外国人研究者招聘のためのに多額の支出が予定されている.平成25年度の未使用分はそのための費用に充当する.
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Research Products
(11 results)