2012 Fiscal Year Research-status Report
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24740032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kagoshima National College of Technology |
Principal Investigator |
早坂 太 鹿児島工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20409460)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 局所環 / コーエン・マコーレー局所環 / 加群 / 巴系加群 / 重複度 / ブックスバウム・リム重複度 / ブックスバウム・リム関数 |
Research Abstract |
本年度は、Kleiman-Thorupによって導入された一般化されたブックスバウム・リム関数(以下、KT関数と略す)の一般論の整備と典型的な巴系加群のKT関数の体系的な計算を行った。取り組んだ具体的課題とその成果は次の通りである。 1. 可換環論を基礎にKT関数の一般論の整備を行った。特に、KT関数の一部分を抜き出した関数であるブックスバウム・リム関数(以下、BR関数と略す)との関係に重点を置いて理論の整備を行った。Simis-Ulrich-Vasconcelosによって展開されていた可換環論を基礎にしたKT関数の理論を、Kleiman-Thorupによって導入された次数付き環拡大に付随するある次数付き環を利用することで、簡明化・精密化した。 2. コーエン・マコーレー局所環上の巴系加群のBR関数は最初から多項式となり、その最高次係数(BR重複度)について簡明な公式が知られている。この類似として、コーエン・マコーレー局所環上の巴系加群のKT関数について調べた。本年度は、最も単純な巴系加群である1次元コーエン・マコーレー局所環上の巴系イデアルの直和として表される加群のKT関数の具体的計算を行った。直和する巴系イデアルの間に包含関係がある場合、KT関数は最初から多項式であることを証明し、その多項式の形も決定した。また、包含関係がない2つの巴系イデアルの場合について詳細な解析を行い、巴系加群のKT関数は最初から多項式になるとは限らないことがわかった。 3. 加群の重複度研究に関連して、多重次数付き環拡大の斉次成分に付随する長さに限らない不変量、特にgradeや随伴素イデアルの漸近挙動について研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、可換環論の立場からKT関数の理論を整備し、その性質を調べることでBR関数研究に有効な新しい手法を開発しようとするものである。この目的のため、1年目である本年度は、(1) KT関数の一般論の整備、(2) 典型的な巴系加群のKT関数の具体例の計算を計画し実施した。上記(1)KT関数の一般論整備に関して、先行する結果の調査・点検を行い、本研究課題遂行に必要な形への理論の整備を実施、完了した(研究実績の概要1参照)。上記(2)に関して、1次元コーエン・マコーレー局所環上の典型的な巴系加群のKT関数の計算を行い、一定の成果を得た(研究実績の概要2参照)。特に、研究目的の一つである「コーエン・マコーレー局所環上の巴系加群のKT関数は最初から多項式か」という問題に関して重要な進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画を基本方針として研究を推進していく計画である。平成25年度は、平成24年度中に行った1次元コーエン・マコーレー局所環上の巴系加群の具体的計算をより体系的に行い、1次元コーエン・マコーレー局所環上の巴系加群のKT関数の一般論の完成を目指す。同時に、2次元以上の場合の解決に向けて、階数の低い典型的な巴系加群のKT関数の具体的計算も行う。平成26年度は、平成25年度までに行った1次元の場合の研究と具体例の計算をもとに、一般次元コーエン・マコーレー局所環上の巴系加群のKT関数の一般論の完成、及び本研究課題における研究目的・具体的課題の完全解決を目指す。また、本研究期間を通して、明治大学可換環論セミナーにおいて研究進捗状況の発表を行い、研究内容の整備・点検・発展をはかりながら研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(6 results)