2013 Fiscal Year Research-status Report
多様体の崩壊に対するホッジ・ラプラシアンの固有値の極限の研究
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24740034
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 淳也 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (10361156)
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Keywords | ラプラシアン / 固有値 / 微分形式 / 多様体の崩壊 / 特異点 / ノルムの集中 |
Research Abstract |
本年度も昨年度に引き続き,フランス,ナント大学の Colette Ann'e 氏と共同で,Riemann 多様体が崩壊した際に,対応する Hodge-Laplacian の固有値と固有形式の収束の研究を行った.我々が考えている崩壊は,同じ境界を持つ 2つの境界付き Riemann 多様体をその境界で貼り合わせ,その一方を1点に一様に潰す場合(一般化された連結和の崩壊と呼ぶ)である.このとき,貼り合わせの部分は Euclid 的な錘 (Euclidean cone) として潰れて行き,極限空間には錘型特異点(conical singularity)が現われる.これは錘的な退化(conic degeneration)としても大変興味深い例である. 我々はこの崩壊に対して,対応する Hodge-Laplacian の固有値と固有形式の極限が,ある種の``極限作用素''に対する固有値と固有形式として完全に記述出来ることを証明した.特に,0 固有値の重複度を与える指数公式を得た. 以上の研究結果をまとめて論文に仕上げ,投稿することができた(現在査読中).また,国内の研究集会にて,研究成果の発表を行った. ところで,我々の研究において,固有形式の一部のノルムが錘型特異点に集中するという,大変興味深い現象が現れることが分かった.これは我々により初めて観察された現象であるが,その仕組みはまだ分からないことが多い. 従って,次の研究は,この仕組みの解明を目指して行った.その手法は,様々な種類の具体的な例を考察して,同じ様に固有形式のノルムが集中するかどうかを調べた.しかし,この現象は解析的に非常に複雑なため,比較的簡単な場合ですら調べるのが難しく,本年度内にまとまった研究成果を得るには至らなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の前半に,一般化された連結和の崩壊において,対応する Hodge-Laplacian の固有値と固有形式の収束を示すことができた.そして,その成果を論文にまとめ投稿できたことは,本年度の大きな成果であった.また,学会にてその研究成果の発表も行なうことが出来た. その後,本年度の後半において,一般化された連結和の崩壊の研究で観察された,固有形式の一部のノルムが錘型特異点に集中する現象の仕組みの解明を目指して研究を始めた.特に,新たな種類の例を構成して,固有形式のノルムの集中現象が生じるための原因を様々な角度から考察しようと試みた. しかし,この現象は解析的に非常に複雑であるため,当初の予想以上に調べるのが困難であった.比較的簡単な状況ですら中々分からずに苦労した.その点で研究がやや遅れてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の目標は,本年度の一般化された連結和の崩壊の研究で観察された,固有形式の一部ノルムが特異点に集中する現象の原因や仕組みを明らかにすることである.ここで起こるノルムの集中現象は,微分形式に作用する Laplacian (Hodge-Laplacian) の場合に特有な現象であり,その仕組みの解明が Riemann 多様体の崩壊における Hodge-Laplacin の固有値と固有形式の極限の理解に欠かせないからである. 今は錘型特異点の現れる崩壊の場合しか分かっていないので,まずはより多くの具体例を調べて,固有形式のノルムの集中現象の状況を知ることから始める.具体例としては,その特異点の現われ方を変えたり特異点集合の次元を上げるなど,Riemann 計量とトポロジーの2つの効果が把握し易い例を考える.特に,特異点集合の高次元版の研究として,多様体の手術(球面改変)から得られる崩壊の場合が非常に重要である.実際,我々の連結和の崩壊の場合は,0 次元の手術から作られる崩壊に対応しているからである. しかし,その解析は非常な困難を伴うので,新たな知識と技術が必要となる.そのため,特異点のトポロジーや解析学などの関連図書の購入や,専門家もとへ訪問し様々な研究の打ち合わせを行おうと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度後半から新たに取り組んだ研究が思う様に進まず,論文の理解や具体例の計算などに時間を費やすことが多くなった.そのため,新たな研究打ち合わせや成果発表が予定よりも少なくなり,研究旅費の使用額が当初の予定より少なくなった. 平成25年度の後半に予定していた研究旅費の未使用額を,次年度の旅費に必要な経費として,平成26年度請求額と合わせて使用する予定である.
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Research Products
(4 results)