2012 Fiscal Year Research-status Report
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24740045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
尾國 新一 愛媛大学, 理工学研究科, 助教 (00549446)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 相対的双曲群 / 幾何学的群論 / 粗幾何 |
Research Abstract |
相対的双曲群に関係する研究を様々な観点から行い、4本の論文を作成し、arxiv.orgで公開した。以下、順に説明する。東京大学の松田能文氏との共著論文「On Cannon-Thurston maps for relatively hyperbolic groups」では、BakerとRileyの結果に基づいて、Cannon-Thurston写像の非存在および普遍収束作用の非存在に関する研究についてまとめた。この論文はすでに、複数の研究者の仕事において引用されており、幾何学的群論において意義ある仕事であると思われる。前出の松田氏と横浜国立大学の山形紗恵子氏との共著論文「Notes on relatively hyperbolic groups and relatively quasiconvex subgroups」および「On relative hyperbolicity for a group and relative quasiconvexity for a subgroup」では、相対的双曲群の概念を広い枠組みで展開した。今後の研究において基礎となると思われる。東北大学の深谷友宏氏との共著論文「Coronae of relatively hyperbolic groups and coarse cohomologies」においては、適切な仮定の下で、相対的双曲群の良い境界を構成し、その境界で、群自身の粗K群など粗代数的トポロジーにおけるコホモロジーやホモロジーが計算されることを示した。これは、ランク1対称空間の格子の粗幾何の研究への応用などがあり、非常に面白いと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」において記したとおり、相対的双曲群に関連する仕事を複数行い、実際に4本の論文にまとめることができた。いずれも交付申請書に記載した「研究の目的」と直接的あるいは間接的に関係しており、順調に進展していると言って良いと考えられる。特に、松田氏との共著論文「On Cannon-Thurston maps for relatively hyperbolic groups」の内容は、交付申請書に記載した「研究の目的」の達成に直接的に関連している。
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Strategy for Future Research Activity |
相対的双曲群および収束群についての研究を引き続き行う。特に、松田氏との研究において普遍収束作用の存在は見込めないことが明らかになったので、収束作用をすべて考えるのではなく、良いクラスを探すことが、重要な課題の一つである。また、普遍相対的双曲構造が一般に存在するかは、手つかずであるので、どうにか手がかりを得たい。以上は、直接的に「研究の目的」に関係することであるが、間接的に関係する研究も進展させたい。特に、空間の負曲率性あるいは非正曲率性に関連した粗幾何の深い理解を得たい。以上のように研究を推進するために、本や論文などから情報を収集するとともに、様々な研究者と議論したり情報交換する。特に、平成24年度に共著論文を書いた松田氏、山形氏、深谷氏は、私の研究の良き理解者であるので、今後も継続的に議論や情報交換などを行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残っている1918円は、次年度の旅費に充てる。
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Research Products
(3 results)