2012 Fiscal Year Research-status Report
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24740057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
佐久間 紀佳 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (70610187)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / フランス / メキシコ / 自由確率論 / 無限分解可能分布 / ランダム行列 |
Research Abstract |
「自由確率論に動機をもつランダム行列の研究 」の初年度は自由レヴィ過程の分布についての研究を中心に行った。そのなかでも特に非減少レヴィ過程の自由確率論における対応物について調べた。その結果、通常の確率論では知られていないいくつかの性質を見つけた。 この非減少レヴィ過程の自由確率論における対応物のクラスは自由確率論における重要な分布のいくつかを含んでおり、大変興味深い。また特に分布の台の時間発展なども自由確率論における重要な量である「自由キュムラント列」をもちいて表現することが出来た。 またそれらに関連するランダム行列モデルをお茶の水女子大学の吉田裕亮氏らのグループとともに考えた。自己回帰移動平均モデルを行列の元とするような従属のあるランダム行列モデルを、複合Wishart行列と呼ばれるランダム行列の形に変形して、自由確率論的な方法により、そのスペクトル分布の収束を示し、極限分布を調べた。そこで出てくる極限分布は複合自由ポアソン分布と呼ばれる分布のクラスに入る自由ベッセル分布であった。複合自由ポアソン分布も非減少レヴィ過程の自由確率論における対応物の分布の一つであるので前者の性質をそのまま持つ。 またドイツザールランド大学のArizmendi氏とともに自由確率論におけるあたらしいGeneralized Gamma Convolutionのクラスを導入しその性質とMarkov変換との関係についていくつかの例を見つけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度の研究ではお茶の水女子大学の吉田裕亮氏らのグループとともに自己回帰移動平均モデルを行列の元とするような従属のあるランダム行列モデルを自由確率論的な方法により解析した。これは今までスティルチェス変換を用いて行ってきた方法に比べ極限定理の証明などをずっと楽なものにした。また極限分布がはっきり複合自由ポアソン分布であることを示したため、従来の方法では極限分布の存在とスティルチェス変換の形だけが判明していただけなのにくらべ、その分布自体の性質を多く知ることが出来た。 この意味で自由確率論に動機をもつランダム行列モデルの研究はランダム行列の研究の中で確率論的な意味付けを深化させる有用な手段であることのアピール出来たと思う。 またこれらの結果は自由確率論自体の研究の重要性を示していると思う。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度に引き続き自由確率論自体とランダム行列モデルの研究を行っていく。 とくに前年度解決できなかった、Sakuma and Yoshida (2013)に現れる極限定理の極限分布のランダム行列モデルについて再度考えてみたい。また統計的動機を持ったいくつかのランダム行列モデルについてその自由確率論的解析を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度購入予定だった書籍の発売が遅れたので購入を25年度に先送りしたことにより残額が生じた。 25年度7月に行われる、Levy2013において招待講演者として招待されたのでそこで今までの結果をまとめた講演を行う。 またお茶の水女子大学の吉田裕亮氏らのグループ、慶應大の鈴木良一氏とともに統計的動機をもつランダム行列モデルの研究及び自由マリアヴァン解析についての研究を継続して行う。
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