2013 Fiscal Year Annual Research Report
離散可積分系による数列のハンケル変換理論の構築と組合せ論への応用
Project/Area Number |
24740059
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上岡 修平 京都大学, 情報学研究科, 助教 (70543297)
|
Keywords | 数理物理 / 可積分系 / 組合せ論 / 行列式 / Aztec diamond / 非交叉格子路 / タイリング / 完全マッチング |
Research Abstract |
本研究の目的は,数列の行列式変換の一つであるHankel変換に対して,離散可積分系と格子路による計算理論を構築することである.さらに構築した理論を,組合せ論の問題である非交叉格子路やタイリングの数え上げ問題に応用することである.初年度では離散戸田方程式およびその非自励拡張版の方程式に着目し,それらの持つHankel行列式解に対して非交叉格子路による組合せ論的な表示を与えた.最終年度は初年度の成果をベースに次の(1)および(2)を達成した.これらの成果は可積分系理論と組合せ論の問題・技法を相互に応用するものである. (1)超離散戸田方程式の初期値問題の解に対してあるグラフ上の格子路による組合せ論的な表示を与えた.これは格子路の組合せ論の離散可積分系研究への応用である.具体的には初年度の成果の一つである離散戸田方程式のHankel行列式解に対する組合せ論的な表示を始点とし,これを超離散化することにより超離散戸田方程式の解に対する組合せ論的な表示を導出した.得られた表示がある格子グラフ上の最短路問題の言葉で組合せ論的に記述されることが特徴である. (2)Aztec diamond(AD)定理に対してLaurent双直交多項式および離散戸田方程式による新たな証明を構成した.これは離散可積分系およびそれに付随する直交関数の理論の組合せ問題への応用である.Aztec diamondのタイリング問題はElkies等(1992)が提示した可解なタイリング問題である.AD定理はその厳密解を与えるものであり,これまでに様々な別証明が与えられてきた.本研究の証明ではJohansson(2002)の全単射によりある非交叉格子路の問題および等価な行列式の計算問題に帰着させる.行列式の計算を可積分系の技法(Laurent双直交多項式および離散戸田方程式)を用いて行う点が特徴である.
|