2013 Fiscal Year Research-status Report
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24740060
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
友枝 恭子 摂南大学, 理工学部, 講師 (90611898)
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Keywords | Navier-Stokes方程式 / 自由表面流 |
Research Abstract |
平成25年度は昨年度に引き続き、重力場の下(斜面の場合を含めた)壁面上を流れる粘性流体の2次元流について考察を行った。寺本惠昭教授(摂南大学)との共同研究では、斜面を流れる非圧縮粘性流体について特に水平方向へ周期的な摂動を課した場合の自由表面流に関する考察を行った。この研究では主に線形化問題に現れる線形化作用素のレゾルベントがコンパクトであること、更にこの作用素がセクトリアルであることを示している。この結果は、"ANNALI DELL'UNIVERSITA' DI FERRARA"で出版済みであり、国内のセミナーでも報告した。 また臨界Reynolds数とWeber数の考察も継続して行っている。斜面を流れる非圧縮粘性流体の運動はNavier-Stokes方程式の自由境界問題として記述される。そのため境界条件が時間と共に変化するためこのまま解析することは困難である。そこで西田-寺本-吉原(2000)で導出されている固定領域上に変換し線形化した問題について扱うことにした。この線形化問題において方程式とベクトルとの内積をとることによりReynolds数とKornの不等式の定数との関係が不等式として得られた。また境界条件からReynolds数とWeber数との関係も不等式として得られた。壁面上を流れる非圧縮粘性流体についても同様の方法でReynolds数とWeber数とKornの不等式の定数との関係性が得られると期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究実績の概要のとおり、寺本惠昭教授(摂南大学)との共同研究により線形化問題に現れる線形化作用素のレゾルベントがコンパクトであること、更にこの作用素がセクトリアルであることが示された。これによって解析半群が生成され線形化問題に対する時間局所解の存在性と一意性の証明に対して見通しがついた。この結果を踏まえて(傾斜を含めた)壁面上を流れる非圧縮粘性流体の自由境界問題については時間局所解の存在と一意性を示すための準備は出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要でも述べたとおりReynolds数とKornの不等式の定数との関係を不等式として得た。Kornの不等式の最良定数はすでに得られているのでこの定数を用いて安定状態を保つReynolds数の具体的な値を調べる。またこの結果を踏まえてWeber数についても調べる。また、前年度までの結果を踏まえて壁面上を流れる非圧縮粘性流体の自由境界問題の十分小さい初期値に対する時間局所解の存在と一意性の証明を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度以降 本研究を遂行するためには詳細な情報収集が必要になると考えられる。詳細な情報を得るためには関連する分野の専門家と研究議論を行うことが最も有効である。そこで専門家を招聘する際に必要となる旅費と謝金を確保するため、今年度予算を繰り越すことにした。 海外研究集会への出張を2つ予定している。国内研究集会にもいくつか参加する予定である。上記で述べたように本研究を遂行する上で研究議論は重要である。そこで国内外の研究者を招聘し研究議論を行いたい。次年度はこれらで予算を使い切ると考えている。
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