2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24740061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 泰隆 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (70423085)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換(アメリカ,カナダ,中国) |
Research Abstract |
1次元のレヴィ型保険リスクモデルを考え,近年リスク理論の分野で盛んに取り上げられてきたGerber-Shiuの割引罰則関数の一般化とその解析的性質に焦点を当てて研究した. 保険のリスクモデルとして,累積クレーム(保険金請求)を表わす確率過程にはジャンプが負のレヴィ過程を仮定し,無限ジャンプまで許容して頻繁に起こる小さなクレームに対する表現を与えることにより,数学的にはかなり一般的なモデルを考えた.Gerber-Shiu関数はGerber,Shiu両博士により導入された,破産時刻と破産時前後の支払い備金に関する汎関数であるが,我々は,支払い備金の“パス”と破産時刻の汎関数を考えることにより,より一般的な破産リスクを定義し,それが,古典的なGerber-Shiu関数を内包することを示した(一般化Gerber-Shiu関数,以下,GGS関数).この下で,GGS関数が満たすべきintegro-differential equationの導出を行い,「適当な条件」の下で,これに適当な積分変換を施すことにより一種の再生型積分方程式を導出することに成功した.この種の方程式は,古典的なGS関数についてはよく知られた結果であり,その構造が具体的な数値計算に応用されてきたのだが,今回,パス依存型の極めて一般的なGGSに対しても同様な方程式が導かれるという発見を得たことで,その数値解法への具体的指針も同時に得られたことになり大変意義深い結果といえる.さらに,前述の「適当な条件」を取り去るために,別の解析的表現を模索し,レヴィ過程に対する「スケール関数」を用いたGGSの表現を得ることができた.これは,近年の急速に発展しているレヴィ過程の変動性理論を用いた大変興味深い結果であって,この理論の今後の発展に伴いGGS解析もさらに容易になると予想される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は,研究計画で予想した通りの結果は順調に得られており,さらに副産物として,新しい確率論的知見(ポテンシャル測度に関する新結果)などもえられており,当初の予想よりも多くのことが得られたと考えている.特に,共同研究者のFeng博士(現・イリノイ大学)と行った作用素を用いた積分方程式の導出では,既出の論文に対する重要な誤りを発見したことなどもあり,本分野に多くの貢献ができたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究は計画通り順調に進んでいるので,次年度以降も計画に従い調査・研究を進める.次年度はさらにモデルを一般化することになるので,これまでの議論の直接的な踏襲は難しいと予想される.まずは先行研究を精査したい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度計画の為の文献の購入に使用する.
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Research Products
(9 results)