2012 Fiscal Year Research-status Report
非可換構造を用いた多変数多項式公開鍵暗号の設計と解析
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24740078
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | (財)九州先端科学技術研究所 |
Principal Investigator |
安田 貴徳 公益財団法人九州先端科学技術研究所, その他部局等, 研究員 (00464602)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 公開鍵暗号 / ポスト量子暗号 / 多変数多項式公開鍵暗号 |
Research Abstract |
多変数多項式公開鍵暗号は量子コンピュータに耐性を持つと期待されているだけでなく、処理効率も良い暗号であり、次世代暗号の候補の一つと目されている。しかし、鍵長がRSA暗号などに比べて大きいことが問題であり、ICカードのような低資源デバイスへの実装の弊害となりかねない。本研究課題の目的は多変数多項式公開鍵暗号の鍵長を安全性を下げることなく、軽減することである。そしてその手段として非可換環を利用するというものである。平成24年度の研究では非可換環の多変数多項式公開鍵暗号への応用方法を検討し、それにより、安全性、鍵長、処理効率にどのような影響があるか解析することを目標としていた。前年度までに提案していた非可換環を用いた多変数多項式公開鍵暗号方式をもとに、非可換環構造が安全性、鍵長、処理効率にどのような影響を与えるかを解析した。安全性に関しては既存の攻撃法の計算量を記述する際に現れるパラメータに非可換環を用いることでどのように変化するかを解析、パラメータが変化しないような非可換環の利用方法を探った。その結果をもとに、鍵長を最も削減する方法を調査し、提案を行った。同時に処理効率についても解析し、復号化の処理を高速にするアルゴリズムを提案した。計算機を用いた攻撃実験も行うことができ、現在最も安全性に影響を与える攻撃法であるグレブナー基底を用いた直接攻撃を解析することができた。理論と実験の両面から安全性を解析可能になったことが大きい。これらのことを論文として国際会議(AsiaPKC2013)に投稿、採録された。国内研究会でも3件の発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非可換環の多変数多項式公開鍵暗号への応用の解析を行い、その解析結果をもとに一つの提案方式として提示することができた。それ以前まではできなかった計算機を用いた攻撃解析も行えるようになり、解析結果に理論面と実験面の両方の根拠を含めることができた。提案方式の発表も行い、論文として国際会議に投稿、採録された。これは当初計画していたH24年度の内容とほぼ一致する。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度の研究により、非可換環を用いた多変数多項式公開鍵暗号の一方式を提案できた。それ以前に行っていた研究と合わせて、非可換環の応用方法の再検討を行い、安全性、効率性、鍵長の側面から良い適用方法が何かを考察する。さらに非可換環の適用をより一般化し、大きな枠組みで新たな方式の提案を行う。理論、実験両面からの解析を行う。論文としてまとめ、投稿し、成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内旅費50万円、海外旅費50万円、論文投稿費・論文添削費10万円、消耗図書5万円。国内では北海道や沖縄、鹿児島などへの成果発表のための国内発表会参加を予定している。海外でもフランスや中国などでの国際会議での発表を予定している。論文投稿のための添削費用や研究調査のための文献費用が必要である。
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Research Products
(8 results)