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2012 Fiscal Year Research-status Report

熱核の漸近評価の確率論的導出および凸不等式の研究

Research Project

Project/Area Number 24740080
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (B)

Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

針谷 祐  東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20404030)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords確率解析
Research Abstract

平成24年度の研究では主に,一般指数の対称安定過程の負べきから定まる加法汎関数の指数可積分性を調べた.
石毛和弘氏と石渡通徳氏は2012年の論文において,方程式の定義される半空間領域の内部では通常の熱方程式に従い,領域の境界上で負べきのポテンシャル項を持つ方程式に対する解の存在・非存在(爆発)を考察した.私はこれまでの研究で,この種の方程式の解に対する確率論的表示,すなわちFeynman-Kac表現を得ている.本年度の研究ではまず,その表示の時間変数に関するLaplace変換が,指数1の(相対論的)対称安定過程によるFeynman-Kac型の表現を持つことを見出した.そこでこの表現に関連して,指数を一般化した場合に,対応するFeynman-Kac型汎関数の可積分性を考察し,可積分・非可積分を分ける臨界指数の評価を導いた.この結果は対応する偏微分方程式(通常のラプラシアンは分数べきのものに置き換わる)の解の存在と非存在を分ける臨界指数の評価を与える.石毛・石渡両氏の研究,あるいは遡ってP. BarasとJ.A. Goldsteinの1984年の研究結果より,臨界指数は関連するHardyの不等式に現れる最良定数に一致することが類推される.本年度の研究では,確率論的にこの最良定数を再現するには至らなかったものの,得られた評価は空間の次元を無限大とする時の漸近挙動が最良定数のそれと一致するものである.この漸近的に最良の定数は,Baras-Goldsteinの評価法を対称安定過程の場合に拡張し,かつ改良を加えることにより得られる.なおかつ,Baras-Goldsteinの結果と同様,ポテンシャルとしてべき乗型のものを含むより一般的な枠組みで非可積分性,すなわち解の爆発を論じることが出来る.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

上記「研究実績の概要」欄で挙げた本年度の研究内容は交付申請時に掲げた2年次の研究計画の一部に該当するものであり,1年次の研究計画に対するその遂行度合いとしては当初の予定通りと現時点では評価出来ないものの,また,上述の通り本年度の研究では最良定数の再現までには至らなかったが,ポテンシャルに対するより一般的な枠組みの下で解の爆発を論じることが可能となったことは,本研究の主たる研究対象(熱核の漸近評価)にアプローチする上での確率論的手法の有効性を示すものである.また,石毛-石渡やBaras-Goldsteinにより扱われたケースのみならず,ラプラシアンの分数べきを空間変数に関する微分作用素に持つ偏微分方程式の場合にも,対応するFeynman-Kac型汎関数の可積分性とHardy型不等式の最良定数との間に密接な関係があるとの新たな知見が得られたことは,研究課題および関連する研究を遂行する上で重要な意義を持つものと考える.

Strategy for Future Research Activity

本研究の研究課題に関連する書籍や最新の研究結果など文献資料の精査および当該分野の研究者との連携・情報交換を通じて研究を推進する.上記のHardy型不等式との関連で述べるならば,半空間上だけでなく尖点を持つ領域上のものや(例えばNazarov-Taskinen 2011),あるいは対数補正を含んだもの等,関数解析的な関心により広く調べられているようである.これらの文献の精査およびこの方面の研究者とも連携することによる研究計画遂行上のフィードバックが期待出来る.また,少なくとも全空間上のHardyの不等式に対しては剰余項の評価もなされており,それらが対応する熱方程式の挙動にどのように関連するか調べるのも興味深い.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度使用額は,本年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり,平成25年度請求額と合わせ平成25年度の研究遂行に使用の予定である.本研究の遂行上,国内外の研究者と意見を交換し,かつ得られた研究成果を発表することにより最新の知識や知見を共有することは重要である.そのための旅費として使用する.また,確率論関連図書および解析学関連図書を継続的に揃えることおよび情報収集・研究連絡のための通信を円滑に行うためパソコン等コンピューター設備を適宜更新することが研究遂行上共に必要であり,それらのための物品費としても使用する.

  • Research Products

    (1 results)

All 2013

All Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] 境界に特異ポテンシャルをもつ熱方程式に対する解の爆発の確率論的導出2013

    • Author(s)
      針谷 祐
    • Organizer
      日本数学会東北支部会
    • Place of Presentation
      東北大学大学院理学研究科
    • Year and Date
      20130216-20130216
    • Invited

URL: 

Published: 2014-07-24  

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