2014 Fiscal Year Annual Research Report
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24740080
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
針谷 祐 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20404030)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 確率解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 2013年度の研究において,濱名,松本両氏によるBessel過程の到達時刻がもつ末尾分布の漸近評価(Electron. Commun. Probab., 2014)について,確率測度列の弱収束に基づくより直接的な手法を用いてその主要項を再現するとともに,濱名-松本とは異なる議論により誤差項の漸近評価の改善を併せて行った.2014年度の研究では,その議論の改良により誤差項の具体的な漸近挙動を明らかにした.この研究成果は,多次元Brown運動の非極コンパクト集合への到達時刻の末尾分布がもつ漸近挙動を調べたvan den Bergの2007年の結果を,コンパクト集合が球であって次元が非整数の場合に補完する.なお整数次元の場合,当該の末尾分布はDirichlet境界条件付き熱核の空間変数に関する積分値に等しい.本研究成果の学術誌Markov Processes and Related Fieldsにおける掲載が決定している. (2) 2013年度までの研究において,統計力学,とくに勾配界面モデルの解析に重要なBrascamp-Lieb不等式に対して確率解析による簡明な証明を与えた(Electron. Commun. Probab., 2014).その付章において,空間次元が1の場合にGauss測度を摂動するポテンシャルが非凸であってもBrascamp-Lieb不等式と同じGauss型評価の成り立つことがあると指摘した.2014年度の研究ではその議論の再吟味を行い,二重井戸型ポテンシャルを含む比較的広いクラスの非凸ポテンシャルによる摂動の下でも,遠方での凸性が十分強ければBrascamp-Lieb型の不等式が成立することを観察した.その結果を受けて現在,多次元の場合にポテンシャルの非凸性に対するいかなる条件下でBrascamp-Lieb型不等式が成立するか考察を行っている.
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Research Products
(4 results)