2013 Fiscal Year Research-status Report
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24740089
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
市原 直幸 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70452563)
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Keywords | 確率最適制御 |
Research Abstract |
本年度は,粘性ハミルトン・ヤコビ方程式の特異摂動問題に関連する以下の2つの話題について研究した. 1.粘性ハミルトン・ヤコビ方程式の一般化主固有値について 2.粘性ハミルトン・ヤコビ方程式の臨界性理論について 1.確率最適制御問題に付随して現れるエルゴード型粘性ハミルトン・ヤコビ方程式と呼ばれる非線形偏微分方程式に対して一般化主固有値の概念を定義し,この値が確率最適制御問題の最適値と一致するための必要十分条件を与えた.方程式の線形性や関数解析の結果を全く利用しない確率制御論的手法を用いたため,得られた結果は線形方程式だけでなく最適制御論的に重要な非線形方程式も統一的に扱うことができる. 2.実数パラメータを持つエルゴード型粘性ハミルトン・ヤコビ方程式の族を考え,パラメータの値によって方程式の解の性質,特に一般化主固有値とそれに付随する固有関数の空間遠方での解の増大度が大きく変化することを示した.具体的には,パラメータにはある閾値が存在して,この閾値を挟んで解の増大度が1次のオーダーから劣1次のオーダーに変化することを示した.さらに,対応するエルゴード型確率制御問題に関しても,閾値の前後で最適制御過程の再帰性が(再帰的から非再帰的に)変化することを示した.昨年度の研究では,方程式の非線形項がちょうど2次増大の場合を扱ったが,本年度に考察した方程式は必ずしも2次増大でなく一般に優線形であればよい.研究の結果,非線形項の増大度は最適制御過程の再帰性や固有関数の無限遠方の増大度に大きく関わっていることがわかった.特に,非線形項の増大度に応じて方程式の定性的性質や最適制御過程の再帰性が決定的に異なるような具体例を空間2次元の場合に構成することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で考察の対象とする粘性ハミルトン・ヤコビ方程式の解の性質について新しい研究成果を得ることができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた成果をもとにして,粘性ハミルトン・ヤコビ方程式に対する特異摂動問題についての研究を継続して進める.また,本研究に関連して得られた新たな発見についても,その発展可能性を模索したい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は,当初の予定より効率的に経費を使用することができたため. 国内外の研究者との研究打ち合わせのために出張旅費を使用する.また,研究目的の遂行のために必要な図書を購入予定である.
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Research Products
(8 results)