2013 Fiscal Year Research-status Report
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24740090
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
小野寺 栄治 高知大学, 教育研究部自然科学系, 准教授 (70532357)
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Keywords | 偏微分方程式 / 解の一意性 |
Research Abstract |
前年度に引き続きコンパクトリーマン面上の閉曲線流がみたすある種の4階非線型分散型偏微分方程式に対する初期値問題の解の存在問題を考察した。前年度までに、コンパクトリーマン面の断面曲率が一定ならば時間局所的に解が存在することを証明していたので、今年度は解の一意性についての解決を試みた。これまでは、流体力学における渦糸運動や古典スピン系の連続体近似モデルを記述する実2次元球面上の閉曲線流の場合であっても解の一意性については未解決であった。解が多様体に値をとる写像であるため、平坦な空間に値を取る関数に対する偏微分方程式系の場合とは異なり、二つの解の導関数の差をうまく意味づけることとそれがみたす偏微分方程式系の低階項の本質的構造を捉えることを両立させる必要があった。まず、部分多様体論や多様体上の平行移動作用素に関する知識等を補充しながらいくつかのアプローチを試みたが、いずれもうまくいかなかった。そこで、最も簡単でなおかつ物理的背景も持つ設定下で一意性が従うかを確認するために、コンパクトリーマン面が実2次元球面である場合を考察した。この場合には多様体の余次元が1ということもあり大幅に見通しが良くなり、実際, 解の一意性が従うことを証明することができた。これらを踏まえてどの程度多様体の設定を拡張できるか再度考察を開始したところである。 また、研究集会「第9回非線型の諸問題」を5人の世話人のうちの1人として高知大学で開催し、国内の偏微分方程式の研究について情報収集を行った
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでは物理的背景をもつ実2次元球面値モデルであっても解の一意性については未解決であったが、本研究により肯定的に解決された。一方で、実2次元球面値の場合のみという限定的な成果に留まっており、これをどの程度拡張できるかについては明らかにできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度に引き続き4階分散型閉曲線流の初期値問題を考察する。特に、解の一意性が従うための幾何学的設定の拡張可能性を考察する。進捗状況に応じてそれまで得られた研究成果を論文として執筆することも検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度の研究費の使用については5万円程残額が生じたが、これは出席予定であった研究集会が研究代表者の所属機関で開催されたことに伴い出張が不要になったことによるものであり、ほぼ計画通りであった。 次年度も当初の予定通り、主に国内研究集会へ出席するための出張旅費、研究関連の書籍購入、コンピュータ関連の機器や消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)