2013 Fiscal Year Research-status Report
偏微分方程式に対するモジュレーション空間からのアプローチ
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24740092
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
小林 政晴 山形大学, 理学部, 准教授 (30516480)
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Keywords | モジュレーション空間 / フーリエ・ルベーグ空間 / シュレディンガー方程式 / 波束変換 / 波面集合 |
Research Abstract |
今年度は加藤圭一氏(東京理科大学), 伊藤真吾氏(北里大学)との共同研究を行い, 主要な結果として次の2つを得た: (1) Pilipovi\'c-Teofanov-Toft(2008)が時間周波数解析の観点から導入したフーリエ・ルベーグ空間(すなわち, 関数のフーリエ変換がLp関数となるものの集合)型の波面集合(すなわち, 関数の「フーリエ・ルベーグノルムの意味で」局所的になめらかな点の補集合)を波束変換(短時間フーリエ変換)を用いて特徴づけることが出来た. この特徴づけは, Pilipovi\'cらによる特徴づけよりも偏微分方程式(特に1階の双曲型偏微分方程式)の研究に応用しやすいことが分かった. (2) 2011年から2013年にかけて加藤圭一氏, 伊藤真吾氏との共同研究で得られた波束変換を用いた方法を発展させて, 新たなタイプの偏微分方程式の解の評価を得ることが出来た. 具体的には波束変換を用いた方法で, 劣2次のポテンシャルを持つシュレディンガー方程式の解をモジュレーション空間(1983年にオーストリアのFeichtinger氏によって導入された関数空間)の枠組みで評価することが出来た. これまで得られていた B\'enyi-Gr\"ochenig-Okoudjou-Rogers(2007), Wang-Hudzik(2007), Kato-Kobayashi-Ito(2011,2012)らの結果を改良することが出来た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フーリエ・ルベーグ空間はモジュレーション空間とある意味では似た性質をもっている.今回得られた波面集合の特徴づけは, 今後のモジュレーション空間を用いた偏微分方程式の研究に役立つことが大いに期待できる. また, 劣2次のポテンシャルを持つシュレディンガー方程式の解のモジュレーション空間評価式を得ることは本研究課題において重要な部分を占める成果なので, とても満足している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は今回得られた方法がどこまで応用可能なのか(例えば変数係数のシュレディンガー方程式)考察したい. 同時に, 領域上のモジュレーション空間の理論を構築するための準備を行う(調和解析, 偏微分方程式に関する書籍(合わせて10万)を購入する). また, 今回得られた方法を更に発展させるために名古屋大学の杉本充氏, 加藤圭一氏と共同研究を行う(それぞれ旅費10万). 情報収集のため調和解析駒場セミナーに参加する(旅費10万).
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Research Products
(5 results)