2013 Fiscal Year Research-status Report
曲線および曲面のダイナミクスを記述する幾何学的発展方程式の新展開
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24740097
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡部 真也 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70435973)
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Keywords | 幾何学的発展方程式 / 偏微分方程式論 / 変分法 |
Research Abstract |
本年度は, M. Novaga 氏(Pisa大)との共同研究により以下の二つの主題について研究を実施した:(1)適当な勾配流方程式の解の定常解への収束; (2)高階の放物型障害物問題. 以下, それぞれの主題について得られた成果等について記載する. 主題(1)は適当な意味で定義された勾配流方程式が時間大域的に可解であって, かつ, 定常解への時間列に沿った収束, 所謂, 部分収束が示されている場合に, その解が定常解へ収束することを示すための解析手段を提案することが目的である. 実際, 定常解の構造が「離散的である」という仮定が満たされるならば, 勾配流方程式の解が定常解へと収束することを示すことに成功し, 現在投稿中である. 解が定常解に部分収束するだけでは解のダイナミクスを正確に捉えることはできないため, 本主題について得られた結果は解のダイナミクスを解明するための一助となり得る. 主題(2)は, 適当な勾配流に支配される平面曲線の自己公差抑制流の構成から派生した問題である. 曲線同士の接触を記述するための第一歩として, 曲線が運動する平面に障害物がある場合を考察することとした. 曲率の二乗積分, 所謂,弾性エネルギーの勾配流に支配される曲線の運動を考えるとき, その方程式は四階放物型方程式となる. 従って, 四階放物型方程式に対する障害物問題を考察することとなるが, 放物型障害物問題については四階の最も単純な場合にさえ数学的な結果はこれまで得られていない. よって, 本研究の準備とするべく, 主題(2)に取り組むこととした. その結果, 最も単純な四階放物型障害物問題に関して, 解の長時間解の存在およびその解の正則性を示すことに成功した. この成果を基にすることで, 幾何学的障害物問題の解析を行うことができるものと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べた主題(1)は幾何学的発展方程式に支配される曲線のダイナミクスを知るために重要な役割を果たすものである. 研究開始当初の目的であった曲線のダイナミクスの解明に向けた不可欠な事実を得ることに成功したと言ってよい. また, 主題(2)については当初の研究目的である自己交差抑制流の構成から派生した問題であるが, 当初の研究目的にそって行われたものであり, 研究目的である問題に取り組むための重要な示唆を与えるものである. 以上の理由により, 研究はおおむね順調に進展していると評価することができる.
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Strategy for Future Research Activity |
まず, 「研究実績の概要」で述べた主題(2)で得た結果をより一般の場合に拡張することを目指して研究を実施する. 本来の目的である, 障害物がある平面内での曲線の挙動について解析するためには, 幾何学的発展方程式に対する障害物問題を考察しなければならない. この幾何学的発展方程式は四階準線形放物型方程式であるが, 「研究実績の概要」で述べた主題(2)において扱った方程式は四階線形放物型である. 従って, 上述のようにより一般の場合に拡張する必要がある. その上で, 得られた結果およびその解析手法を応用し, 幾何学的発展方程式に対する障害物問題について解析を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である. 前年度において効率的に研究を行ったことにより未使用額が生じたが, 平成26年度請求額とあわせて, 平成26年度の研究遂行に使用する.
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Research Products
(6 results)