2014 Fiscal Year Annual Research Report
非線形楕円型方程式の解構造の解明と定性理論の新展開
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24740100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮本 安人 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (90374743)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 非線形楕円型方程式 / 大域的分岐構造 / 優臨界 / 解構造の分類 / 不完全分岐 / Joseph-Lundgren指数 / 臨界Sobolev指数 |
Outline of Annual Research Achievements |
拡散係数をパラメータとして含む,非線形楕円型偏微分方程式の大域的解構造に関する2つのテーマを研究した. 1つ目のテーマは,優臨界の増大度を持つ非線形楕円型偏微分方程式の球領域上の正値解の解構造の分類に関する研究である.この方程式は,変分法などの一般的な手法が適用できないため,その解構造は興味ある問題であるものの,未知の部分が大きかった.Dirichlet問題の場合は,主要部分が冪型か指数型となる任意の非線形項を扱い,Neumann問題の場合は,スカラーフィールド型と呼ばれる冪型を扱った.まず,Dirichlet問題の冪型の場合は,解構造が3通りに分類できることを発見し,Type I, II, IIIと名づけた.このうち,Type IIはBrezis-Vazquezの90年代の先行研究によって完全に解明されている.そこで,Type I,IIIに関する研究を行い,Type Iに関する決定的な結果(指数がJoseph-Lundgren指数より小さいならばType I)が得られた.さらに,Type IIIの例を構成し,Type IIIが実際に存在することを示した.指数型はType I, IIに相当する結果が得られ,Neumann問題の冪型の場合はType Iに相当する結果が得られた. 2つ目のテーマは,円環領域におけるLiouville方程式の解構造について研究である.球対称解からなる枝は,対称性破壊分岐点を無限に持つことが知られている.対称性を崩すように円環領域を摂動させると,対称性破壊分岐点において不完全分岐を起こし,解構造が大きく変化することを証明した.この研究において,Liouville方程式に適用するために,不完全分岐に関する関数解析的な一般論を構築したが,他の半線形楕円型方程式にも適用可能な汎用的な理論となっている.そこで,この定理を用いて他の例も研究した.
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