2012 Fiscal Year Research-status Report
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24740106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
土井 一幸 富山県立大学, 工学部, 講師 (80608331)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 非線型波動 / 時間大域解 / 有限時刻爆発 |
Research Abstract |
初期値問題の解に対する時間大域的性質の解析は偏微分方程式における基本的問題の一つである。研究課題では非線型波動に的を絞り、解の時間大域性についての考察を行った。 その一つとして、時間に依存する消散項を付した非線型分散型方程式について考察した。ここでは、初期値を平面波の重ね合わせと限定することにより(一般性は多少犠牲になるが)、特殊解の挙動を解析し、方程式の持つ性質を検討した。具体的には、非線型項が解を有限時刻で爆発させるような効果を持つ場合にも、非線型性に応じて消散項がある程度の大きさを持てば小さな初期値に対しては時間大域解が存在することが明らかになった。一方で、非線型性に応じて消散項がある程度小さいうちは、如何に初期値を小さくしようとも解は有限時刻で爆発するという結果も得られた。特に、ここで考えている方程式は非線型光学に基礎方程式として現れる非線型シュレディンガー方程式(ここでの消散項は損失項と呼ばれる)を含んでいることに応用面からの一つの意義がある。 もう一つの成果として、空間3次元における斉次の波動方程式の解に対する重み付きの各点評価を得た(共同研究)。この評価は、非線型波動方程式(系)について、小さな初期値に対する時間大域解の存在を示すことに役立つ。本研究で得られた各点評価は、従来得られていたそれとは非斉次項に課す重みが異なる。それによって、非線型波動方程式(系)の小さな初期値に対する時間大域解の存在をより簡潔に示すことができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数理物理に現れる非線型波動のモデル方程式について、一般性を多少犠牲にしてでも解の(時間大域的)性質を探ることができているという点に加え、非線型双曲型波動方程式(系)についての共同研究も進んでいる点を考慮したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度の共同研究により得られた斉次の波動方程式の解に対する各点評価を用いて、非線型問題へのさらなる応用を検討する。 具体的には、外部領域上での非線型波動方程式(系)についての小さな初期値に対する解の存在時間の考察を行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当研究における情報収集のために、関連する書籍等を購入する(費用の面から電子版になる可能性もある)。 また、コンピュータ周辺機器やコンピュータソフトウェア等の購入あるいは更新も予定している。 本研究で得られる成果を論文にて発表する際、別刷りに料金が発生する場合も当研究費から支出する。 また、学会や研究会に出席するための旅費や遠方の研究者と議論を交わすための旅費に充てる。
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Research Products
(4 results)