2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24740109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
勝良 健史 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (50513298)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 数学 / 関数解析 / 国際研究者交流 / アメリカ:カナダ:デンマーク / 作用素環 / 分類 |
Research Abstract |
平成24年度では4本の論文を新たに公表し雑誌に投稿した.そして国内外の研究集会に参加し,研究成果の発表や関係研究者との研究討論を行った.その結果,本研究に関する新しいアイデアも生まれ研究が進展している. 公表した4本の論文のうち1つは,Arklint氏とBentmann氏との共著である.この論文内では,交付申請書に記載した「研究の目的」内に書かれている「(i) 良い有限空間Xに対して,K-webを拡張したX上のC*環の不変量を提案し,それが純無限などの良い性質を満たすC*環のクラスに対して完全不変量となっていることを示す」と「(ii) (i)で挙げたXに対して,実次元0などの条件下で(i)で提案した不変量をより簡単な不変量に置き換えることができることを示し,その不変量に対する実現問題を解決する」という目的に対し,3種類ほどの有限空間Xのクラスに対してほぼ満足のいく結果を得ることができた.その応用として交付申請書に記載した「研究の目的」内で説明されている「グラフ環の特徴づけ予想」をある種の有限空間のクラスに対して解くことに成功した. 公表した残り3本の論文では,申請時では思いつかなかったC*環およびその分類に関する結果をそれぞれ得ている.これらの結果は本研究が目指す究極的な目標である「単純とは限らないC*環の分類理論の完成」に対して少なからぬ示唆をもたらしてくれるものと思われる. 上に書いたArklint氏とBentmann氏と協力して得られた結果に関しては,アメリカと大阪で行われた研究集会で発表を行った.それ以外にもデンマークやカナダでの研究集会に参加し,多くの研究者と本研究に関する研究討論を行うことで,新たなアイデアが生まれた.特に,上に書いた(i)の研究では純無限の性質をもつC*環を対象としているが,それとは反対の安定有限の性質をもつC*環の分類の研究が進展した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」内で書いた「(i) 良い有限空間Xに対して,K-webを拡張したX上のC*環の不変量を提案し,それが純無限などの良い性質を満たすC*環のクラスに対して完全不変量となっていることを示す」と「(ii) (i)で挙げたXに対して,実次元0などの条件下で(i)で提案した不変量をより簡単な不変量に置き換えることができることを示し,その不変量に対する実現問題を解決する」という目的に対し,3種類ほどの有限空間のクラスに対してほぼ満足のいく結果を得ることができた. その応用として「グラフ環の特徴づけ予想」をある種の有限空間のクラスに対して解くことに成功した.これらの結果を論文にまとめて投稿した. それ以外にも,多くの研究集会で本研究に関する研究討論を行うことで,申請時では思いつかなかったC*環およびその分類に関する結果を3つも得ることができ,それらも論文にまとめて投稿した.また,本研究の究極的な目標に対する新たなアイデアも生まれ,現在研究中である. 以上のことから現在のところ本研究はおおむね順調に進展しているということができる.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究を続けていく. 具体的には,3種類ほどの有限空間のクラスに対して結果が得られた「(i) 良い有限空間Xに対して,K-webを拡張したX上のC*環の不変量を提案し,それが純無限などの良い性質を満たすC*環のクラスに対して完全不変量となっていることを示す」と「(ii) (i)で挙げたXに対して,実次元0などの条件下で(i)で提案した不変量をより簡単な不変量に置き換えることができることを示し,その不変量に対する実現問題を解決する」という研究を他の有限空間のクラスに対して示すということを行っていく.また,それらの有限空間のクラスに対する「グラフ環の特徴づけ予想」にも挑戦する.その他にも現在研究中である「(iii) 実次元0グラフ環に対して半群を用いた不変量を定義し,これが完全不変量であることを示す」の研究を続け,何かしらの成果をあげたいと思っている. 交付申請書に記載した「研究計画・方法」に具体的に書いていないこととしては,交付申請書に記載した「研究の目的」の最初に挙げた「単純とは限らないC*環の分類理論の完成」という究極的な目標に対して,様々な角度から結果を出していきたいと思う.特に現在進展している単純なC*環の分類理論において,単純などの条件がないときには何が起きるのかを調べていこうと思う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上に書いたように次年度も研究を推し進めるため,初年度同様,国内,海外の多くの場所で研究討論を重ねる予定である.国内外で行われる研究集会で発表をしたり最新の情報を収集すること,また,国内外の研究協力者と直接会い議論をすることは本研究を遂行する上で重要なことである.従って,研究費のうち多くの額を国内および国外への旅費として利用する予定である. また,最先端の研究分野に関する最新の情報を得るためや,関連分野の文献を入手する予定である.このことは新しいアイデアを思いつくために必要なことである. さらに,研究発表の準備や研究に関する資料整理,数値計算のために計算機が必要であるが,現在保有している計算機が使えなくなった場合はすぐさま新しい計算機を購入する必要がある. そして,本研究に関わる様々な資料を収集,整理するため人を雇い謝金を払う可能性もある.
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