2013 Fiscal Year Research-status Report
可積分な離散ハングリー系に付随するアルゴリズムの高速化と理論解析
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24740110
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
福田 亜希子 東京理科大学, 理学部, 助教 (70609297)
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Keywords | 離散ハングリー戸田方程式 / 収束次数 / 中心多様体 / totally nonnegative行列 / 原点シフト / 可積分系 / 箱玉系 / 保存量 |
Research Abstract |
研究代表者らのこれまでの研究において,可積分な離散ハングリー戸田方程式の数理構造をもとに,totally nonnegative行列の固有値を高精度に計算できるdhTodaアルゴリズムを提案している。dhTodaアルゴリズムには収束を加速するための「原点シフト」と呼ばれる手法が組み込まれており,反復毎にシフト量が改善される実装法を既に提案している。 H25年度の研究では,反復毎にシフト量が改善されるシフトを導入したdhTodaアルゴリズムに対する収束次数の解析を行い,弱2次収束することの理論保証を与えた。原点シフトを導入しない場合と比較して,収束性が大幅に改善されることを数値実験により確認した。この研究成果は2013年6月にアメリカのProvidenceで行われた国際会議「the 18th Conference of the International Linear Algebra Society (ILAS2013)」,2014年3月につくばで行われた国際ワークショップ「International Workshop on Eigenvalue Problems: Algorithms; Software and Applications, in Petascale Computing (EPASA2014)」において口頭発表・ポスター発表を行い,研究成果をまとめた論文は海外の学術論文誌に投稿中である。 さらに,離散ハングリー戸田方程式の収束性について,古典的な解析手法である中心多様体理論を用いた局所解析を行い,平衡点付近における指数的収束性を示すことに成功した。研究成果をまとめた論文は海外の学術論文誌に投稿中である。 当初の研究計画に含まれてはいないが,離散ハングリー戸田方程式に関連する箱玉系に関する研究も行い,保存量の構成方法についても新たな知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者らが提案したtotally nonnegative行列に対する固有値計算アルゴリズムについて,その誤差解析,収束次数,局所収束性の理論的な解析,および数値実験などがおおむね完了し,アルゴリズムの理論的・数値的特性が明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度に付随的に得られた離散ハングリー戸田方程式に関連する箱玉系の保存量に関する研究を進める。離散ハングリー戸田方程式とB\"acklund変換によって結びつく離散ハングリーロトカ・ボルテラ系の保存量の線形代数の観点からの導出,離散ハングリー戸田方程式に関連する新たな箱玉系の定式化などを進める。さらに,離散戸田方程式に関連する加速アルゴリズムについて,文献調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は研究費の大半を旅費に使用しているが,5707円の次年度使用は国内・国外旅費に係る航空券費用の前後により発生したと考える。 当該年度に得られた研究成果を国内外の適切な研究集会で発表するための旅費,H25年度に投稿中であった2編の論文に関わる投稿料,研究に必要な専門書の購入に使用する予定である。
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[Presentation] 箱に番号が付いた新しい箱玉系について
Author(s)
柿崎 苑美, 福田 亜希子, 石渡 恵美子, 山本 有作, 岩崎 雅史, 中村 佳正
Organizer
平成25年度 九州大学応用力学研究所 共同利用研究集会「非線形波動研究の拡がり」
Place of Presentation
九州大学筑紫キャンパス
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