2014 Fiscal Year Annual Research Report
銀河系内のダークマター微細構造の解明およびダークマター検出への応用
Project/Area Number |
24740115
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石山 智明 筑波大学, 計算科学研究センター, 研究員 (90616426)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ダークマター / サブハロー / ダークマター検出 / 大規模シミュレーション / 銀河 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は当初の予定を変更し、大スケールのダークマターハローの形成、進化過程について調べた。最小スケール付近のハローのより大きいスケールのハローの中での分布を調べる予定であったが、研究の過程でまず先に大スケールハローの進化の理論テンプレートを作成しておくことと、大スケールハローのサンプルをできるだけ増やす必要があることが判明したからである。
理化学研究所のスーパーコンピュータ「京」や、国立天文台の「アテルイ」を用いて、最大で粒子数5500億、領域1.12Gpc/h の、世界最大規模の宇宙論的N体シミュレーションを行い、矮小銀河スケールから銀河団スケールまで、質量でおよそ8桁におよぶハローの進化をこれまでにない精度で明らかにした。そしてこれらハローの質量関数や成長率、合体史をハロー質量や赤方偏移、合体の質量比であらわすフィッティング関数を得た。またハローの形成時刻をハロー質量であらわすフィッティング関数を得たが、形成時刻は質量関数などと比べ、宇宙論モデルに敏感であることが示唆された。これらの結果をまとめた論文が Publications of the Astronomical Society of Japan 誌に受理された。
このシミュレーションは最小スケール付近のハローの進化を、大スケールへと連結させるために重要な位置づけを占めているだけでなく、準解析的銀河形成モデルと結合させバリオンの進化をモデル化し、銀河や活動銀河核などの大規模天体サーベイ観測と直接比較可能な、様々な天体の疑似カタログを作成できるという重要な波及効果を内包している。
|