2012 Fiscal Year Research-status Report
ガンマ線バーストの新しい観測的分類手法とその統一理論の構築
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24740116
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
筒井 亮 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (00625593)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ガンマ線バースト / ダークエネルギー |
Research Abstract |
これまで一つの種族からなると思われていた継続時間の長いガンマ線バースト(LGRB)が実は、光度が最大に達した後徐々に暗くなって行く種族と、輝き初めから最後まで変動しつつもほぼ一定の明るさで輝く種族の二つの異なる種族に分離出来るということを世界で初めて発見した。この新しい分類に基づくと、それまで一つの分散の大きな関係式と思われていたLGRBのνFνスペクトルに山の見られるエネルギー(Ep)と明るさが最大になる時の光度(Lp)の間の経験則が実は非常に分散の小さな二つの異なる関係式であったということが判明した。新しいそれぞれの関係式の周りのデータのバラツキは明るさで10%ほどしかなく、これは良く知られているセファイド型変光星の周期-光度関係やIa型超新星の減光率-最大光度関係の周りのバラツキと同じ程度である。ガンマ線バーストはこれらの天体よりも遥かに明るく、従って遠方にあっても観測可能であるため、この関係式を用いればこれまで距離を直接測ることの出来なかった深宇宙においてもLGRBを用いて10%程度の精度で距離を測ることが可能である。早速新しく発見した、この関係式を用いて、超新星の観測することが難しい100億光年より先の宇宙のLGRBに対して距離を求めて、今後LGRBがダークエネルギーという今世紀の物理学最大の難問に対する制限を与える上でこれまでにない強力な道具となりうることを世界で初めて指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題の一つである、ガンマ線バーストの新しい分類手法の構築に向けてほぼ計画通りの成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は主にガンマ線バーストの即時放射のデータを用いて研究を行った。この研究は計画通り進んだので、次年度からは用いるデータを即時放射のみから、X線残光、可視残光にまで広げて、其々の種族における光度曲線の振る舞いがどうなっているのかを見て行く。観測的に正しく分類することが出来るようになり、それらの種族がどのような共通点と相違点を理解することにより、将来の理論研究への見通しが良くなるであろう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(6 results)