2012 Fiscal Year Research-status Report
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24740128
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
島尻 芳人 国立天文台, 野辺山宇宙電波観測所, 研究員 (90610551)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 大質量星 / 星団形成 / 紫外線 / 電波天文学 |
Research Abstract |
本研究は、銀河系の星の70-90%が生まれる星団形成を理解することを大目標に、星団形成に支配的な影響を与えていると考えられる大質量星から放出される紫外線の周辺環境及び星形成に与える影響を調査することを目的としている。この目的を達成するために、大質量星の紫外線が周辺環境に与える物理的・化学的影響を明らかにし、紫外線に照射されたコアと照射されていないコアとの間の物理量 (質量・密度・温度・速度構造) の相違点を明らかにすることを目指している。 研究代表者は紫外線の照射により破壊されやすい一酸化炭素 (CO) 分子と紫外線の照射により強度が増加する 8μm 放射の分布の違いから、紫外線の影響を受けている領域を同定してきた。しかし、この同定方法は空の面に平行に分布している領域しか同定できない。紫外線の影響を無バイアスに明らかにするには、新たな診断方法が必要となる。そこで、CO 分子の同位体の存在量比 (X[13CO]/X[C18O]) から紫外線の影響を診断する。 C18O分子は13CO分子と比べ紫外線により選択的に破壊される。そのため、紫外線の影響を受けた領域では、 存在量比が大きくなることが期待される。オリオン座A分子雲には多くの大質量星が分布している。この周辺部では存在量比が大きい事が期待される。この作業仮説を検証するため、C18O分子輝線と13CO分子輝線の同時観測を野辺山45m電波望遠鏡を用いたプロジェクト観測に立案し、観測時間が割り当てられた。しかし、使用を予定していた新受信機の科学運用が遅れたため、今年度は既存の受信機を用いて、基礎データの取得とともに、解析ツールの整備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
野辺山45m電波望遠鏡に搭載予定であった新受信機の科学運用が延期となったため、平成24年度中に取得予定であった3分子輝線(12CO, 13CO, C18O)のデータを取得することができなかった。そこで、取得予定であった3分子輝線のうち最も強度が弱く、より多くの観測時間が必要とされるC18O分子輝線のデータを既存の受信機を使用して取得した。来年度以降に取得予定のデータは既存の受信機のデータと比べ大容量であるため、データ解析に時間を要する事が予想される。そこで、効率的にデータを処理するため、大容量データの扱いに適した解析ソフトを用いた解析スクリプトの作成を行った。さらに、本研究で調査する物理量(各分子の存在量)をイメージから導出するためのプログラムも作成を行った。これらの準備により、来年度新しいデータを取得した後、即座に解析を行う事が可能となり、本年度の遅れを取り戻す事が期待出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
新しい受信機を用いて、平成24年度取得予定であった3分子輝線(12CO, 13CO, C18O)のデータを取得する。平成24年度の取得したC18O分子輝線のデータは、新しい受信機のデータと足し合わせる事で感度不足を補う。新しい受信機が搭載される平成25年度秋までの間に、より効率的にデータが取得できるスキャン方法などを考案する。観測データの取得後は、平成24年度に準備をしたデータ解析スクリプトを用いて円滑にデータ処理を行いイメージの作成を行う。さらに、13CO分子輝線とC18O分子輝線のデータから準備をした解析プログラムを用いて、各分子の存在量を導出し、作業仮説の検証を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度取得予定の観測データは既存の観測データと比べ大容量である。そのためデータ処理には、大量の計算機処理が必要とされるため、高い演算能力と大容量のデータストレージを持つ計算機環境の構築が必須となる。この環境整備は観測データの円滑な処理と、成果の速やかな公表、論文出版とを可能にするための基盤となる。この基盤整備のために、高性能のコンピュータ、大容量のデータストレージ、解析ソフト(IDL)が必要となる。
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[Journal Article] High angular resolution observations towards OMC-2 FIR 4: Dissecting an intermediate-mass protocluster2013
Author(s)
López-Sepulcre, A.; Taquet, V.; Sánchez-Monge, Á.; Ceccarelli, C.; Dominik, C.; Kama, M.; Caux, E.; Fontani, F.; Fuente, A.; Ho, P. T. P.; Neri, R.; Shimajiri, Y.
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Journal Title
Astronomy and Astrophysics
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
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