2013 Fiscal Year Annual Research Report
中間赤外線用イマージョングレーティングの開発:回折面への金属成膜技術の確立
Project/Area Number |
24740131
|
Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
猿楽 祐樹 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究員 (10512147)
|
Keywords | 赤外線天文額 / 高分散分光 / 回折格子 / イマージョングレーティング / 反射膜 |
Research Abstract |
コンパクト・軽量な中間赤外線高分散分光装置を実現するキーデバイスとなるイマージョングレーティングの開発を進めている。本研究では、実用化に必要な回折面への反射膜成膜方法を検討し、高効率のイマージョングレーティングの実現を目指す。25年度の成果は、(1)グレーティングの材料であるCdZnTeの赤外線透過特性を、波長1.3-26umにおいて、独自の改良を加えたFTIRを用いて精密に測定し、非常にわずかな吸収(吸収係数~0.001cm-1)まで求め、さらにCdZnTeがイマージョングレーティングの材料に要求される高い透過性(吸収係数0.01cm-1以下)を波長5-20umにおいて持つことが確認されたこと、(2)CdZnTe製グレーティングを製作し、その光学性能(回折面の面精度、散乱光ロス、ゴースト、回折効率)を評価し、実用的なグレーティングが実現されたこと、である。(1)により、高い効率が得られる波長帯が十分な精度で初めて示された。イマージョングレーティングを実用化する上で欠かせない重要なデータである。またイマージョングレーティングとしての性能や成膜による効率の向上を検証するためにも必要なデータである。(2)は、中間赤外線帯で使用できるイマージョングレーティングとしては、世界初の実績である。このサンプルの回折面に金属成膜を施して反射率を向上させることで実用的な素子の完成に近づく。金属成膜については、24年度に行った成膜実験から、Alの蒸着で波長10-20umにおいて十分な反射率(95%以上)が得られている。この反射膜は、77Kまで冷却した前後で性能に変化がないことも確認している。研究期間全体として、中間赤外線用高効率イマージョングレーティングの開発を、世界に先駆けて、実用化の目前まで進めることができたと言える。
|