2013 Fiscal Year Annual Research Report
化学トレーサー利用を目指したTc-99mの半減期変化研究
Project/Area Number |
24740136
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊永 英寿 東北大学, 電子光理学研究センター, 准教授 (00435645)
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Keywords | 半減期測定 / 壊変定数 / 化学効果 / テクネチウム / クロム |
Research Abstract |
内部転換過程,電子捕獲過程で壊変する核種の中には,化学状態(外殻電子の状態)を変化させると半減期が変化するものがある。このような半減期変化を起こす核種としてTc-99の核異性体(Tc-99m)やCr-51が知られている。本研究ではこれらの半減期変化量を測定した。 平成25年度は前年度に作成した高精度で半減期を測定するための装置に,フラッシュADCを用いた新しい回路系を組み込み,実際に放射性同位元素(RI)を用いて評価を行った。従来のアナログADCを用いた回路系と比べ,高計数率の測定のときエネルギー分解能の劣化が大きい等の問題はあるが,十分半減期変化を観測できることがわかった。本装置により溶液状態のRIの半減期が測定できるようになり,幅広い化学系で半減期変化が測定できるようになった。 また,半減期変化量の実験値と理論計算の整合性を確認するためCr-51の半減期変化量と簡単なモデル計算値(文献値)との比較を行った。この簡単なモデル計算はTc-99mの半減期変化についても適用できるため,実験値をどの程度再現できるかに着目した。本研究では0価,+3価,+6価の化学形間で壊変定数(λ)の差を求め,λ(0)≒λ(+3)<λ(+6)となることを明らかにした。モデル計算(文献値)によればλ(0)<λ(+3)<λ(+6)と予測されており,実験値を定性的,定量的に再現していない。電子状態と半減期のさらなる議論のためにはより精度の高い実験値と計算値が必要となることがわかった。Tc-99mについては測定中の計数率が高く,スペクトルのエネルギー分解能が劣化する。現在,半減期変化量を高精度で確定する手法を検討している。今後も半減期測定の対象化学形を増やしながら実験を継続して行く予定である。
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