2012 Fiscal Year Research-status Report
SOI技術を用いたピクセル崩壊点検出器の世界初の実用化に向けた研究
Project/Area Number |
24740137
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石川 明正 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40452833)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | SOI / 崩壊点検出器 / 半導体検出器 / ピクセル検出器 / 素粒子実験 / SOIデバイス / Belle 実験 / Belle II 実験 |
Research Abstract |
前年度に開発を行ったPIXOR1チップが納入された。PIXOR1チップはPIXOR読み出し機構をテストする為に、機能を分割した回路(TEG:Test Element Group)からなる。センサーから読み出すアナログ回路のみのTEG、デジタル回路のみのTEGなどである。センサーの読み出しにはダイオードが使われるが、複数の読み出し方式のダイオードを用い、最適な方式を選ぶことが可能となっている。 まず、デジタル回路のみの試験を行った。デジタル回路はアナログ回路から送られてきた信号をクロックと同期させ、遅延したトリガー信号と同期した場合にデータを取得する事を主な目的とする。テストパルスによる疑似信号を用い、信号がトリガーと同期した場合にのみ出力され、正常に動作をすることを確認した。 次にアナログ回路のみの試験を行った。PIXOR読み出し方式ではX方向の読み出しとY方向の読み出しに同量の電荷が収集される事が重要である。109CdからのX線を複数の読み出し方式のダイオードを用いたTEGに照射し、アナログ回路から増幅、整形した信号を読み出した。その結果PS2方式と呼ばれる方式によってほぼ同量の電荷が収集され、ノイズも十分に小さい事を確認した。 基本的な動作確認が出来た為、クラスターサイズの測定の為に信号を入力せず閾値を上げていき検出効率測定(Sカーブ測定)をしていたところ、一度下がった検出効率が再度上がるという予期しない振る舞いが起こった。PIXOR1チップの共同開発を行った A-R-Tech 社と議論し新たな解決策を試している最中である。 また、バックゲート効果を押さえる為にPIXOR1を二重シリコン構造にした新チップと、すべての機能をセンサー上におけるようにピクセルサイズを最適化したPIXOR2を開発した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画については①ストリップ読みだしの概念及び設計が正しいかを検証することと②センサーからの信号を読み出す際に問題が起こるかを検証する事である。 109CdによるX線の試験から、PS2方式のダイオード読みだしにより①と②はほぼ検証済みである。唯一クロストークについては閾値回路の問題がある為、定量的な評価はまだ行っていないが、アナログ信号を見る限り検出効率を大幅に変えるほど大きくない為、設計を大幅に変更することは無いと思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずはPIXOR1の閾値回路の検証を第一に行い、現在のチップが正常な動作をするか確認する。仮に正常な動作をしなければ A-R-Tech 社と対策を考え、PIXOR3にフィードバックをする。正常な動作をするのであれば、クラスターサイズの測定を90Srによって行い、シグナルの広がりが十分小さいか、崩壊点検出器として使えるか否かを検証する。 その検証が終わり次第、ビームテストによる検出効率と位置分解能の測定を行う。PIXOR1は読み出し機構の検証の為のチップである為、すべての機能をセンサー上に置いたPIXOR2でビームテストを行う。ビームテストに関してはCERNのSpS も J-PARC もシャットダウン中である為、Fermilab のビームラインが使えないか、議論中である。 また、高速化の機能に関してはPIXOR2には載せていない為、同時にPIXOR3の開発し動作検証を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額 444,686円 となっているが、すでに平成24年度3月に物品費として予算を使用しており、平成25年4月に予算執行される予定である。購入したものは、SOI検出器の可視光での応答を簡易に見る為のレーザーポインター、オシロスコープでの測定をしやすくする為のアダプター、成果を発表するのに必要なソフトウェアといずれも必要なものである。
|