2013 Fiscal Year Annual Research Report
次世代原子炉ニュートリノ振動実験のための検出器キャリブレーションシステムの開発
Project/Area Number |
24740155
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石塚 正基 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (40533196)
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Keywords | 素粒子 / ニュートリノ / キャリブレーション |
Research Abstract |
本研究では次世代ニュートリノ検出器(特に大型の液体シンチレータ検出器および水チェレンコフ型検出器)における系統誤差を削減し、ニュートリノ振動の測定精度を向上させるために、新しいアイデアに基づく検出器キャリブレーションシステムの研究開発を行った。 本研究で開発したキャリブレーションシステムではレーザー光源からの光を光ファイバーおよび検出器内部に設置した光拡散ボールを通して照射する。光拡散ボールはワイヤ-操作により移動可能であるため、通常のデータ収集と平行して検出器キャリブレーションを行うことが可能である。このキャリブレーションシステムの特徴として、あらかじめワイヤーを設置した範囲については検出器に垂直方向だけでなく、水平方向にも光源(光拡散ボール)を移動できる点があげられる。 初年度には小型の試作機を作成し、光拡散ボールをワイヤーとステップモーターにより移動させるシステムの試験を行った。試験の結果、当初のデザイン通りに動作することが確認された。また、既存の原子炉ニュートリノ実験(Double Chooz実験)の位置再構成精度との比較から、開発したキャリブレーションシステムにより十分な位置決定精度が得られることが確認された。 2年目(最終年度)には比較拡散ボールを作成した。光を拡散するため、素材として波長変換物質に加えて、酸化マグネシウムを配合した。また、拡散された光の一様性を測定するため、レーザー光源から光ファイバーを通して光を照射し、光電子増倍管により光の一様性を測定するためのセットアップを作成した。測定の結果、光が一様に散乱されていることが確認された。測定の系統誤差を見積もり、測定精度を向上させることが今後の課題である。
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