2013 Fiscal Year Research-status Report
「最も一般的なインフレーション模型」による宇宙論の展開
Project/Area Number |
24740161
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小林 努 立教大学, 理学部, 准教授 (40580212)
|
Keywords | 宇宙論 / 重力 / インフレーション / 初期宇宙 |
Research Abstract |
本年度は、最も一般的な一成分スカラー自由度を持つ重力理論を最も一般的な多成分スカラーの理論に拡張するための基礎研究をおこなった。そのために、先行研究で提唱され、最も一般的な多成分スカラー理論と予想されている「一般化された多成分ガリレオン理論」を精査した。この理論に基づいてインフレーションモデルを構築し、線形揺らぎのしたがう2次の作用を導出した。その過程で、予想に反してこの理論は最も一般的ではないということを示した。真に最も一般的な理論をシステマティックに構築する研究は、現在進行中である。 続いて、最も一般的な一成分スカラー場の理論の枠組みで、宇宙論的接続条件を背景時空と線形摂動に対して導出した。相転移により宇宙の状態方程式が急激に変化するなどといった状況下で、連続になる物理量は何かということが明らかになった。また、ミンコフスキ時空から宇宙が膨張を開始する新しい初期宇宙モデルを、最も一般的なスカラー場理論を用いて再定式化し、既存のこの種のモデルのすべてを含む一般的な作用を提案した。そして、このモデルに宇宙論的接続条件を適用し、ミンコフスキ時空から創成された宇宙が通常のビッグバン宇宙に接続されるための一般的な条件を導いた。 本年度はさらに、最も一般的なスカラー場理論にもとづいてブラックホール摂動の解析もおこなった。摂動のパリティ奇モードについてはすでに研究が終了していた。今回は、同じ手法をパリティ偶モードに適用し、球対称真空時空が安定であるための一般的な条件を導出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り研究は進行し、順調に論文を出版できているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究の遂行にあたって、これまでのところ特に大きな問題はなかった。今後もこれまでと同様、論文を執筆し国際会議で発表するなど、精力的に研究を推進していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際会議出席のための航空券代が予想よりも安かったため。また、学会開催地が大学所在地から近距離だったおかげで、旅費、交通費の使用を抑えられたため。 2回程度国際会議に出席する予定であり、その参加登録費、旅費などに使用する。日本物理学会をはじめとする国内学会・研究会への出張旅費(4,5回程度)にも使用する。また、ハードディスク・ディスプレイなどコンピュータ周辺機器、研究関連図書等を必要に応じて購入する。
|
Research Products
(9 results)