2013 Fiscal Year Research-status Report
宇宙大規模構造・重力レンズ現象を用いた、重力理論の検証と構造形成初期条件への制限
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24740171
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
加用 一者 東邦大学, 理学部, 博士研究員 (80377928)
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Keywords | 観測的宇宙論 / 宇宙大規模構造 / 重力レンズ |
Research Abstract |
テーマ1「重力理論の検証」にむけてのパワースペクトル解析法の開発においては,特に速度場のパワースペクトルを測定する方法について研究を進めた。そこでは,多くの高分解能シミュレーションデータを用い,密度揺らぎ場の非線形成長性,および赤方偏移歪みを適切に考慮してどの程度正しく測定出来るかを検証した。その結果,当面必要の要求精度である数パーセントを満たしていることを確認し,論文として発表した。 テーマ2「重力レンズ現象」については,主力望遠鏡の老朽化による不調や悪天候に悩まされながらも着々と観測を重ね,重力レンズ候補天体の発見に成功している。これらの発見を元にすばる望遠鏡などの観測時間を獲得し(平成26年度),実際に複数の重力レンズを発見している。また,2014年3月からいよいよ開始されたすばる望遠鏡Hyper Suprime Cameraを用いたサーベイ計画を念頭に,弱い重力レンズ場の統計解析の研究も進めている。そこでは,パワースペクトルに加えてバイスペクトルを考慮することによって,宇宙論的情報がどの程度増えるのかを調べた。特に,平成24年度の研究をもとに,具体的な宇宙論パラメータへの影響を議論している(論文投稿中)。その他,弱い重力レンズサーベイにおいて,サーベイ領域の形状を適切に変更することで,総面積が同じでも得られる情報量が大きく異なることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度に引き続き,テーマ1に関する研究の進捗状況が良くない。これはテーマ2に関する研究が予想よりも大きな広がりと深さを持つようになり,時間的資源の配分がテーマ2へ偏ったためである。また,本年度は所属大学での任期最終年度のため,次の求職活動へも大きく時間をとられたのも問題であった。テーマ1は低達成,テーマ2は予想以上の達成だと考えているが,総合的にはやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を推進するための技術的な問題はなく,計画に従って進めれば良いと考えている。しかし,平成26年度より所属が変更になり,教育のために多くの時間が必要になった。そのため,研究を推進するには時間の確保が最重要課題となっている。平成26年度後期,および平成27年度は若干余裕が生まれると期待されるので,全力で推進したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に用いているハワイ島にあるUH88望遠鏡を,日本からインターネット経由で操作し観測を行うことができるようになったため,本科研費申請時に想定していた観測のための出張費が余ることになった。 平成26, 27年度も同じ状況の発生が予想されるが,着々と増強中の並列計算機をさらに高度化することで活用する。
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