2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24740177
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
祖谷 元 京都大学, 基礎物理学研究所, 特定研究員 (70386720)
|
Keywords | 宇宙物理 / 中性子星 / 巨大フレア現象 / 状態方程式 |
Research Abstract |
中性子星内部は地球上では実現が困難な程、超高密度状態となる為、極限状態における物理を調べる上で中性子星は絶好の「実験室」であると言える。特に、軟ガンマ線リピーターで観測された巨大フレア現象に伴う準周期的振動は、中心天体として考えられる中性子星の振動に強く関連している。これは、中性子星の振動を直接捉えた初の事例かもしれない。そこで、現実的な状態方程式を用いてクラスト領域でのズレ振動を相対論的枠組みで計算し、原子核物質飽和パラメータに対する依存性を調べた。そして、観測された準周期的振動数と比較することで、この飽和パラメータに制限を与えることに成功した。天体観測を用いた原子核パラメータへの制限であり、地上における原子核実験で与えられる制限とは全く質の異なる制限である。そういう意味で、本研究は宇宙物理学のみならず原子核物理にも資するものである。 また、これまで多くの研究で用いられていた、ズレ振動数を特徴づける物理量であるズレ弾性率は、電子の分布を一様と仮定したものであるが、実際は原子核の存在(陽子の局在)により電子も非一様な分布となると考えられる。そこで、この効果を取り入れたズレ弾性率を用いて、ズレ振動の解析も行った。この結果、用いた状態方程式によらず振動数は6%小さくなり、上述の原子核飽和パラメータに関する制限は15%程度シフトすると期待される。 さらに、中性子星から放出される重力波に励起される電磁波の解析や低質量中性子星に関する質量公式の導出にも成功している。今後、低質量中性子星が観測されれば、我々の見つけた質量公式を通して原子核パラメータへの制限も可能かもしれない。
|