2013 Fiscal Year Research-status Report
リチウム11におけるスピン・アイソスピン対称性の回復メカニズムの研究
Project/Area Number |
24740187
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
笹野 匡紀 独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 研究員 (10515802)
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
原子核はスピンとアイソスピンで特徴づけられる核子からなり、その構造をしらべるためには、これら二つを同時にかえるガモフ・テラー(GT)遷移強度を測定する手法が非常に有用である。本研究は、逆運動学の中間エネルギー(p,n)反応を用いてGT遷移強度分布を測定し、この測定量におけるダイニュートロン相関など二核子相関の役割を調べることで、スピン・アイソスピン自由度対称性(SU(4))の破れ・回復のメカニズムを明らかにすることを目指している。 2013年度は、アイソスピンが大きく偏った132SnでのGT遷移強度を測定するために、RIKEN RIKBFにおいて132Sn(p,n)反応測定の実験を行った。近年中性子過剰のSn核の中性子スキンにおいて、2中性子の空間的相関が強い状態が起こりうることが示唆されている。これは11Liなでの軽核においてみられるダイニュートロン相関現象が、より大きく一様な核物質である中性子スキン内でどのように発現しうるかという点で、非常に興味深い。2013年度に行った実験はそのような中性子スキン内での2中性子ペアをSU(4)空間で回転させた際の応答をみることに相当する。また、132Snは陽子数50、中性子数82の魔法数からなる2重閉殻核であり、そのGT遷移強度を測定することは、当該原子核のみならず、周辺の原子核のスピン・アイソスピン自由度にかかわる構造を理解するうえで、重要である。本科研費を使用し、この実験を遂行するための中性子検出器の開発をした。 現在実験データを解析中であり、2014年度中に出版を行いたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目的である「核内スピン・アイソスピン自由度対称性の回復のメカニズム」の解明のために本質的に重要な実験をRIKEN RIBFで遂行した。現在実験データを解析中であるが、当初の予定していた計画を十分に上回る成果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
データを解析し、2014年度以内に出版する。また、本研究の次の段階につながる実験を提案する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度は実験遂行のために必要な検出器作成のため、本科研費を使用した。その際、見積もりにくらべ、物品の調達費用が小さかったため、残額が次年度使用額として生じた。 実験データの解析を行い、出版、発表するための費用として使用する。
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