2014 Fiscal Year Research-status Report
リチウム11におけるスピン・アイソスピン対称性の回復メカニズムの研究
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24740187
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
笹野 匡紀 独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 研究員 (10515802)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 巨大共鳴 / ガモフ・テラー遷移 / 中性子相関 / 対称性の破れ |
Outline of Annual Research Achievements |
原子核はスピンとアイソスピンで特徴づけられる核子からなり、その構造をしらべるためには、これら二つを同時にかえるガモフ・テラー(GT)遷移強度を測定する手法が非常に有用である。本研究は、逆運動学の中間エネルギー(p,n)反応を用いてGT遷移強度分布を測定し、この測定量におけるダイニュートロン相関などの二核子相関をしらべることで、スピン・アイソスピン自由度対称性(SU(4))の破れ、回復のメカニズムを明らかにすることを目指している。
2014年度では大きな進展が三つある。アイソスピンの大きく偏った錫同位体(132Sn)に対して、2013年度に対して行った(p,n)反応実験の解析である。近年中性子過剰の錫核の表面で、二中性子の空間的相関が強い状態が起こりうることが示唆されており、その影響がGT遷移強度にどう表れるかを調べることを目的に解析を進めいる。2014年の段階で、解析でえられた励起エネルギー分布の中に、すでにGT巨大共鳴に対応する構造を特定した。2015年度に、この解析結果を論文として出版する。
もう一つは申請者が中心メンバーの一人となり、軽い中性子過剰核8He, 11Li, 14Beにおける(p,n)反応測定の提案を行い、受理されたことである。これらの核の表面においては、中性子の相関は強いことがしられている。錫のデータと合わせることで、SU(4)の破れ、回復のメカニズムに関して、より統一的な理解が得られると考えている。またこれに先駆けて、申請者が中心となって米国ミシガン州立大学で提案していた16C(p,n)反応測定実験を3月に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アイソスピンの大きく偏った錫同位体(132Sn)に対して、2013年度に対して行った(p,n)反応実験の解析結果の出版に目途をつけたため。また、現象のより統一的な理解のために、次の一手になる実験を理研RIBFで提案し、受理されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は、132Snにおけるガモフ・テラー遷移強度分布のデータ解析の出版を行う。
また、次の一手として提案した、軽い中性子過剰核8He, 11Li, 14Beにおける(p,n)反応測定の準備を進める。
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Causes of Carryover |
2014年度には、主に2013年度に行った実験解析と、今後の研究の発展に必要な共同実験者との議論を主に行った。このため、支出が主に旅費に限られ、残額を翌年度分に回す必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度は、2014年度から繰る越した金額を合わせて、実験データの出版費用や会議での発表への費用に当てたいと考えている。
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Research Products
(3 results)