2013 Fiscal Year Research-status Report
光第2高調波を用いたナノ~メソスケール階層構造の観察と誘電応答特性の解明
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24740195
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横田 紘子 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50608742)
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Keywords | 光第2高調波 / 核混合法 |
Research Abstract |
本年度はパルスレザー堆積法(PLD法)を用いた核混合法に着目をし、研究を行った。核混合法では2つ以上の異なるターゲットを交互に積層させることにより、1つの物質を作成するという手法であり、これまで作成が困難であった物質群の創製を可能にすることができる手段として申請者らが提案しているものである。これまでにチタン酸鉛の成膜に成功しており、通常の成膜手法と比べても遜色のない薄膜を得ることに成功している。本年度はこの手法が他の物質にも適用できるのかを検証するために、チタン酸カルシウムおよびチタン酸バリウムを用いて実験を行った。その結果、これら2つの物質についても核混合法をもちいて成膜を行うことができることを明らかにした。この手法では、それぞれの元素の組成を容易に制御することができることからストイキオメトリー組成を得ることが期待でき、今後応用の上でも役立つのではないかと考えている。 また、ドメイン境界に着目をし、光第2高調波顕微鏡(SHGM)を用いた強弾性体チタン酸カルシウムのドメイン境界観察を行った。この物質は中心対称性を持つことから、バルクでは極性は存在せずSHG不活性である。申請者らは強弾性ドメイン境界が極性を持つことを明らかにし、その3次元構造観察を行った。これにより、強弾性体における2種類のタイプの異なるドメイン境界の両方がSHG活性であることを明確にし、それぞれの対称性を決定することに成功した。これは世界で初めての試みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初予定していた研究内容とは少し異なっているが、揺らぎをキーワードとした研究の派生という意味でおおむね順調に進展しているといえる。 特に、強弾性体のドメイン境界が極性をもつことに関する研究は今後のドメイン境界科学の発展の上で非常に重要な成果であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果を踏まえ、2014年度は応力印加下におけるドメイン境界の振る舞いに着目をして研究を行っていきたいと考えている。すでに、応力印加装置のプロトタイプは作成済みであり、偏光顕微鏡下での測定は行っている。その結果では、応力を印加することにより容易にドメイン境界が移動することを確認している。これらの系統的な実験を行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度購入を予定していたい物品が予算額に合わなかったため、別の物品で埋め合わせを行った。このため、当初予定していたよりも少し残高が生じてしまった。 試薬などの消耗品代として当てる。
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Research Products
(6 results)