2013 Fiscal Year Annual Research Report
表面吸着種により制御されたスピン偏極ゲルマニウム表面電子状態の研究
Project/Area Number |
24740197
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢治 光一郎 東京大学, 物性研究所, 助教 (50447447)
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Keywords | 半導体表面 / スピン軌道相互作用 / 角度分解光電子分光 / スピン分解光電子分光 |
Research Abstract |
近年,固体表面や界面の電子スピンを舞台にしたサイエンスが急速な発展を見せている。このスピンに関する新開拓分野は「スピン軌道相互作用」が重要なキーワードとなり,基礎研究のみならず,次世代デバイス開発に向けての基盤技術としても大きく期待されている。中でも,ラシュバ効果と呼ばれる二次元電子系に特有のスピン軌道相互作用は重要である。本研究は,原子層レベルで良く制御された固体表面を人工的に作り出し,その表面にラシュバ効果によりスピン偏極した金属電子状態を発現させ,その出現メカニズムを解明することを目的として行われた。 本研究はまず,ゲルマニウム基板に単原子層の鉛原子を吸着した系に注目して行われた。この表面では,これまでに表面吸着種由来の電子状態が金属的性質を有し,さらにスピン偏極していることが明らかにされていた。ところが申請者らの詳細な研究の結果,表面吸着種由来の電子だけではなく,基板であるゲルマニウム表面の電子もスピン偏極している事が明らかにされた。本発見は,半導体ベースのスピントロニクス技術の構築に向けて重要な成果である。この成果について,2013年6月に韓国済州島で開催された国際会議において招待講演を行った。 ゲルマニウム表面に白金原子を吸着した系では,表面一次元原子鎖が自己組織的に形成され,そこにはスピン偏極した一次元金属電子状態が存在していることが明らかにされた。この成果については,2013年6月にアメリカ物理学会誌Physcical Review Bに論文発表し,2013年9月にフランス・パリで開催された国際会議,国内の日本物理学会,表面科学学術大会において口頭発表を行った。
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Research Products
(9 results)