2013 Fiscal Year Annual Research Report
トポロジカル絶縁体表面電子状態:ディラックコーンの異方性と準粒子散乱の研究
Project/Area Number |
24740204
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
有田 将司 広島大学, 技術センター, 技術主任 (20379910)
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Keywords | トポロジカル絶縁体 / ディラックコーン / 角度分解光電子分光 / 準粒子散乱 |
Research Abstract |
C3v対称性を持つトポロジカル絶縁体の表面電子状態:ディラックコーンでは、Warping効果と呼ばれる六角形星状変形を起こす。Warping効果とその電子状態について新しい知見を得るために、広島大学放射光科学研究センターHiSOR BL-9Aにおいて高分解能角度分解光電子分光実験を行った。測定を行った試料は、Warping効果の小さいBi2Se3と比較的強いGeBi2Te4について行った。 得られた成果は、両者は、同様な分散形状をしたディラックコーンを持ち、フェルミ準位近傍に結合エネルギー 各々15meV 17meVに折れ曲がり構造観測した。Bi2Se3については、バルクフォノンの状態密度とエネルギーがほぼ一致している。また、GeBi2Te4については、分散から見積もったボゾンとの結合定数とフェルミ準位上のスペクトル幅の温度変化から見積もったフォノンとの結合定数が一致した。よって、これらの準粒子散乱の起源は、フォノンとの結合と結論付け、結合定数は、ほぼ同じであることを見出した。 Bi2Se3においては、ディラック点付近での準粒子散乱(フォノン―電子散乱、電子ー電子散乱)の抑制を見出したが、GeBi2Te4では、スペクトル幅は変化なく、ディラック点近傍での顕著な散乱の抑制効果は見られなかった。これは、狭いバルクエネルギーギャップとディラック点がバルク電子状態に埋もれている為、準粒子散乱確率が増加したためと考えられる。GeBi2Te4では等方的(Warpingが無い)ディラックコーンが、ディラック点近傍においても、ほとんど観測されず、正六角形に固定された形状を観測し、バルク電子状態の影響を強く受けていることが示唆され、それにより散乱抑制効果が低いと考えられる。 また、GeBi2Te4では、キャリア量の違う試料についても内殻スペクトル測定を行い、Geサイトの変化をとらえた。
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