2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24740208
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
西脇 洋一 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70439818)
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Keywords | 強誘電体 / 結晶育成 / 誘電率測定 / 相転移 |
Research Abstract |
ハロゲン化物強誘電体の結晶育成およびその誘電性に関する測定を行った。 結晶育成のためにチョクラルスキー法を用いた炉を作製し、また誘電率の温度依存を10Kから室温まで測定可能な測定装置を作製した。 垂直ブリッジマン法により良質なRbCoBr3結晶が得られるようになった。その誘電率は、過去に報告されたものより1桁から2桁大きくなった。また、チョクラルスキー法によりA2BX4型強誘電体の結晶群を育成したが、それらの誘電率の大きさは過去の報告のものと同様であった。チョクラルスキー法による結晶育成法の確立は、今後の課題として残った。 RbCoBr3は良質な結晶が得られたため、その詳細な物性評価を行うことが可能になった。誘電率の温度依存性は30K付近にブロードなピークを示すが、このピークはCole-Coleプロットが2つの円を描くという奇妙な周波数分散を持つことが明らかになった。この結果は、2種類の緩和時間を持った誘電分散が現れていることを示している。求めた緩和時間は、イジングスピンの磁壁が鎖内で運動する際の緩和時間と近い値であった。この結果から、誘電分散の起源はスピン系の動的振る舞いにより起こる、誘電性と磁性の複合現象の可能性がある。 また、焦電気測定を用いてRbCoBr3の自発電気分極の温度依存性を調べた結果、強誘電性が温度低下に伴い37Kから31Kの範囲で現れ、31K以下で一旦喪失した後、10K以下で再び現れるということを明らかにした。この結果は、磁気相転移が37Kと31Kで起こるのと対応している。RbCoBr3では、磁気系の秩序と格子系の秩序がお互いのエネルギーフラストレーションを緩和し合いながら、協力的に磁気相転移と構造相転移が起こり、それに伴って強誘電性が現れるという強い証拠が得られた。
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Research Products
(1 results)