2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24740216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 克明 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (70547306)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 表面・界面物性 / ナノ材料 / グラフェン |
Research Abstract |
特異な物理現象解明に向けた基礎研究や電子デバイス等への応用研究が盛んに行われている。グラフェンは積層数に伴い物性が劇的に変化する。また、多層グラフェン層間に原子等を挿入した層間化合物においても、様々な物性(磁性や超伝導)が発現する。そこで本研究は、積層数を制御したグラフェンやグラフェン層間化合物の電子状態を角度分解光電子分光によって直接決定することで、超伝導等の特異物性をディラック電子との関連性から解明することが目的である。 平成24年度は、グラフェン層間化合物の試料作成・評価を行うための試料作成評価装置の建設・改良を行った。グラフェン層間化合物作成評価装置は、様々な原子を同時に蒸着する事が可能なグラフェン試料作成チェンバーの設計・設置を行うとともに、Arガス雰囲気中でSiCなどの半導体試料をアニールすることが可能な通電加熱装置の作成を行った。建設した試料作成装置の設置を行った。この試料作成装置を用いて、グラフェン層間化合物の作成を試みた結果、グラファイト層間化合物の中で最も高い超伝導転移を持つC6Caの最も薄い極限である、2層グラフェン層間化合物C6CaC6の作成に世界で初めて成功するとともに、その電子状態を高分解能角度分解光電子分光装置によって世界に先駆けて明らかにした。この成果は、高速ナノ蓄電池や超伝導薄膜デバイスへの応用に指針を与える重要な結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、グラフェン層間化合物の試料作成・評価を行うための試料作成評価装置の建設・改良と超高真空槽内で作成した薄膜の試料評価のために、電気抵抗の温度変化測定が行えるクライオスタットの制作を予定していた。試料作成評価装置に関しては、グラフェン試料作成チェンバーの設計・設置とLiやCa等を蒸着する事が可能な蒸着源の制作を行うとともに、既存の光電子分光装置との連結を行う事で、作成した試料を大気にさらす事なく測定が行えるようにした。その結果、世界で初めて、2層グラフェン層間化合物C6CaC6の作成に成功するとともに、電子状態の解明にも成功した。現在、新たにアルカリ金属を挿入した2層グラフェン層間化合物の作成および電子状態解析を進めている。一方、より2層グラフェン層間化合物の物理特性を行うための電気伝導測定用クライオスタットは、現在改良・調整中であり、室温で薄膜の電気伝導測定はすでに成功しており平成25年度に完成する予定である。制作中のクライオスタットは300Kから10K程度まで温度可変であり、当初予定していた3Kまでの測定が行えるよう、特注の熱輻射シールド等を平成25年度に設置する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
電気伝導測定装置用クライオスタットの調整・設置を行うとともに、当初予定していた次に示す研究を行う。・ グラフェン層数依存性・ アルカリ金属を挿入したグラフェン層間化合物の作成および評価・ 金属被服グラフェンの非従来型超伝導の可能性の解明・ スピン軌道相互作用誘起グラフェンスピン偏極バンドの観測 これらの実験を円滑に行うため、はじめに電気伝導測定用クライオスタットの改良を行う。当初目標としていた室温から3Kまでの電気伝導測定が行えるよう、特注の熱輻射シールドを導入するとともに、熱伝導の良い材料を用いて、試料台の制作を行う。また、多金属蒸着源の制作を行い、作成された高品質グラフェン上に超高真空下で蒸着・加熱をことで、研究計画で予定していた試料の作成および評価を行う。作成・評価が完了した試料から順次角度分解光電子分光を用いて電子状態解析を行い、グラフェン関連物質の新規物性を電子状態の立場から解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、当初計画していたグラフェン試料作成に関する研究が当初の予定より効率的に推進した事に伴い発生したものと、当初計画していた電気伝導測定用クライオスタットの建設・改良を次年度に延期することによって生じたものであり、平成25年度請求額とあわせ、電気伝導測定用クライオスタットの改良・調整を遂行するために使用する予定である。
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Research Products
(7 results)