2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規開発超高圧下核磁気共鳴技術による強相関電子物性の開拓
Project/Area Number |
24740219
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
北川 健太郎 高知大学, 教育研究部自然科学系, 講師 (90567661)
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Keywords | 装置開発 / 高圧実験 / 超高圧 / 核磁気共鳴 / 強相関電子系 |
Research Abstract |
「誰でも使える小型圧力装置」の実現に関しては大きな進展があり、13GPa超まで安定して多数の電気配線と光ファイバーを非常に歩留まり良く導入する配線方法を開発することができた。その結果、元々NMR測定用に開発してきた本技術が、電気抵抗測定・ac帯磁率測定・ac比熱測定に非常に有効であることとなった。その理由は、極低温まで使用可能な程度に小さく、良好な静水圧性を持ち、簡単に使用可能な配線方法と試料室サイズを持つ技術が10 GPa級としては他に全く存在しないからである。共同研究者によって、強四重極秩序およびそのゆらぎに関係した超伝導状態を持つと言われているPr化合物のPrTi2Al10の高圧化相図を完成させることに利用されている。 極低温での超高圧実験を目指して、3Heのハンドリングシステム、循環式3He冷凍NMRプローブ、φ22に小型化した超高圧セルをそれぞれ開発した。極低温・超高圧域でのNMR実験は、試行を含めてこれまで存在してこなかったので、組み合わさると初めてのことであり、今後実際の超高圧NMR実験を行う予定である。 そのような超高圧研究に適した系として、強磁性量子臨界ゆらぎの物性やYb系重い電子系がある。現在本研究室においてそれらの新物質・新物性を開発中である。その中で、計画には含まれていなかったことであるが、新構造をもつ重希土類化合物群を発見した(学会発表済み)。特にその内のYbCo2Ge4は、20 mKまで秩序化しないこと、抵抗率・磁化率・比熱・NMR緩和率において0.5 K程度まで非フェルミ液体的ふるまいを保つことが分かってきており、常圧下において量子臨界点に非常に近い物質であることが分かった。このような物質はCe化合物では多く見られるが、Yb系では数種類しか見つかってきていない。今後の高圧研究において相図と量子臨界性を明らかにしていく予定である。
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