2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24740224
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
左右田 稔 東京大学, 物性研究所, 助教 (40463905)
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Keywords | マルチフェロイックス / エレクトロマグノン / スピンネマティック / 中性子散乱 |
Research Abstract |
マルチフェロイック物質Ba2CoGe2O7では、6.5 K以下でキャントした反強磁性磁気秩序とそれに伴う強誘電分極が観測され、その強誘電分極はd-p hyabridizationモデルによって説明される。さらにテラヘルツ時間領域分光測定においてエレクトロマグノンが4 meV付近に観測されているが、このエネルギー励起は通常のスピン波では説明できない。マルチフェロイック物質Ba2CoGe2O7に対する中性子散乱実験を行ったところ、エレクトロマグノンに対応する磁気励起に加えて、E~0.1 meV程度の特異な磁気異方性ギャップを観測した。Ba2CoGe2O7では、モーメントが<100>に向くと反強誘電、<110>に向くと強誘電になるため、面内で90度周期の磁気異方性が存在すると考えられる。我々は、スピンハミルトニアンにスピンネマティック間の相互作用の項を加えることによって、この特異な異方性ギャップを説明できることを明らかにした。ここで、スピンネマティックO_XY=cos(2κ)(SxSy+SySx)-sin(2κ)((Sx)^2-(Sy)^2)であり、中性子実験によって多極子間の相互作用を観測していることを意味する。さらに、磁化測定においても、この磁気異方性起源のスピンフロップが観測されており、そのフロップ磁場は中性子散乱実験で観測されたギャップエネルギーと一致する。一方、4 meVで観測されたエレクトロマグノンに対応する磁気励起は、拡張スピン波理論によって解析できることも明らかにした。
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