2013 Fiscal Year Annual Research Report
圧力誘起超伝導,巨大磁気抵抗および異方的近藤散乱を示すセリウム化合物の物性研究
Project/Area Number |
24740226
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中野 智仁 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60507953)
|
Keywords | 超伝導 / 圧力 / 磁気抵抗効果 |
Research Abstract |
本研究は,常圧で反強磁性を示すCePtSi2の圧力誘起超伝導や予備実験から示唆されていた巨大な磁気抵抗効果および異方的な電気伝導の起源を明らかにする事を目的として行った。平成24年度は,純良単結晶育成の効率化及び関連希土類化合物の作成を行った。また,各結晶軸に対して,輸送特性を明らかにし,CePtSi2で観測される圧力誘起超伝導が価数揺らぎの影響を受けている可能性を明らかにした。さらに磁化の異方性に対応しc軸方向の磁気抵抗効果が巨大であるのに対して,b軸方向では極端に小さいことが明らかにした。平成25年度の主な成果とその意義は下記に列挙する。 (1) Siをイオン半径が大きなGeで置換することにより,負の圧力効果を調べた。20 %の置換で約-3 GPa圧力効果があり,特徴的温度は正負の圧力下でスケールされることを明らかにした。これはこの系で示唆される磁性, 超伝導および価数の揺らぎが圧力によって支配される事を示す。 (2) PtをNiで一部置換することにより正の圧力効果が得られることが示唆されていた。本研究では反強磁性が消失する濃度領域で,低温の詳細な輸送特性測定を行い,物理的圧力下と同様に非フェルミ液体的挙動を明らかにした。これは置換効果によっても,物理的圧力下同様の状態を実現することが可能であることを示し,圧力下では難しい電子状態の調査を常圧で行うことが可能になったことを意味する。今後は,単結晶化を行い,価数の変化に対応する物性測定を行う予定である。 (3) 従来用いていた圧力セルでは約3 GPaまで発生させることが可能であったが,圧力下の相図を完成させるためは足りなった。そこで極低温領域で使用可能な高圧発生装置の開発を行い約10 GPaまで発生可能な圧力セルを開発した。今後この圧力セルを用いて広範囲の圧力相図を完成させる予定である。
|
Research Products
(13 results)