2013 Fiscal Year Annual Research Report
トポロジカル超伝導体CuxBi2Se3および新規物質の超伝導ギャップ対称性の解明
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24740237
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐々木 聡 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (00540105)
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Keywords | 超伝導トポロジカル絶縁体 / 超伝導トポロジカル結晶絶縁体 / トポロジカル超格子絶縁体 / ポイントコンタクト分光 |
Research Abstract |
超伝導トポロジカル絶縁体CuxBi2Se3(以下CBS)は、予期せぬ本来的なCuの不均一性によって超伝導体積分率は最高でも80%程までしか到達せず、従来型超伝導とのジョセフソン接合形成の成功確率が低かった。また、100℃までの昇温でCBSの超伝導性が劣化もしくは消失することもわかり、接合形成のためのリソグラフィーが極めて困難で、信頼できるジョセフソン接合による実験結果は得られなかった。 この問題を解決し、CBSや新奇超伝導物質のギャップ対称性の研究を進めるため、CBSと同じ時間反転対称超伝導体の探索を行い、ほぼ100%の超伝導体積分率を持つ二つの新しいトポロジカル超伝導候補物質を発見した。一つはInドープ超伝導トポロジカル結晶絶縁体Sn1-xInxTe(以下SIT)であり、もう一つはBi2Se3の2ユニットが通常の絶縁体であるPbSeのブロックで挟まれたヘテロ構造を持つ物質にCuインターカレートした超伝導トポロジカル超格子絶縁体Cux(PbSe)5(Bi2Se3)6(以下CPSBS)である。 SITがトポロジカル超伝導体候補物質であることをポイントコンタクト分光実験によって世界でいち早く示した。また、系が低温で菱面体晶に構造相転移するIn濃度領域において、系の乱れが増えるほど超伝導転移温度が上昇する異常な振舞いを見出した。これは、菱面体晶相では特殊なBCS超伝導状態が実現し、低温まで立方晶の構造を保つIn濃度領域でのみ非従来型の超伝導状態が実現していることを示唆する。更に、比熱測定からどのIn濃度においてもほぼフルギャップである可能性が高いことがわかった。SITはCBSと同じ超伝導対称性を持つことが理論的にわかっているので、この結果からCBSのギャップ対称性の知見を得ることが出来た。また、CPSBSの比熱の振舞いが強い非従来性を示すことを見出した。
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