2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24740246
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
土屋 聡 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80597633)
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Keywords | 超伝導ゆらぎ / 強相関系超伝導 / 2次元性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、2次元性の効果に着目し、強相関電子系超伝導における重要な未解決問題である、位相ゆらぎ超伝導の起源、転移の性質を明らかにすることである。特に申請者らがこれまでに発見した面内磁場による位相ゆらぎ超伝導の起源を明らかにするために、電子相関、次元性の異なる超伝導体を用い、面内磁場中での電気抵抗、磁気トルクの系統的な精密測定を行うことである。 本研究を通して、有機化合物k-(BEDT-TTF)2Cu(NCS)2、k-(BEDT-TTF)2Cu(N(CN)2)Br、a-(BEDT-TTF)2NH4Hg(SCN)4、及び銅酸化物Bi2Sr2CaCu2O8+xの計4種類の強相関系超伝導体に対して測定を行い、すべての物質で位相ゆらぎ超伝導状態が存在することを明らかにすることができた。特に最終年度にはa-(BEDT-TTF)2NH4Hg(SCN)4、及びBi2Sr2CaCu2O8+xの解析を進めることにより、位相ゆらぎの起源には電子構造の2次元性が関連していることが示唆された。また有機物、銅酸化物超伝導体の両者において位相ゆらぎ超伝導が現れ始める温度は、ネルンスト効果が現れる温度より低いことがわかった。これはネルンスト効果が位相ゆらぎではなく、超伝導に関係ない秩序相などの要因で現れる可能性を示唆している。同時に、位相ゆらぎ超伝導状態が、銅酸化物超伝導体で盛んに議論されている“擬ギャップ“の形成に関連していない可能性にも言及することができた。
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Research Products
(3 results)