2012 Fiscal Year Research-status Report
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24740257
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島田 尚 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90431791)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 粉体 / 分子動力学シミュレーション / 非平衡現象 / レオロジー / 集団現象 / 非線型 / 国際情報交換(スイス) |
Research Abstract |
本研究の目的は粉体層中に置かれた自発的な繰り返しの変形を行う物体(以下スイマーと呼ぶ)の運動についての基礎的理解を得る事である。特に初年度にあたる本年度は単一のスイマーの方向制御の機構について研究する予定であった。 そこでまずこの計画の通り、3次元系でのシミュレーションを行うためのCISC 型のプロセッサを持つ高性能のワークステーション「Event-Driven 型シミュレーション及び解析用計算機」を選定、購入した。これを用いて、スイマーの方向の変更・制御について解析を進めた。 具体的には、重力が無く上下壁からの静水圧によって充填された粉体層の中に3つの剛体球を繋げた形状のスイマー単体を配置した系を系統的にシミュレーションした。従来通りに2つの剛体球から成っている本体の尾部に追加されたもう一つの球は、その大きさと取り付け角度を色々に変えてそのような形状のアシンメトリが“ラダー”として如何に働くかを調べるためのものである。推進方向の変化率と方向安定性、さらには推進に要する仕事という3つの量を評価し、最適なスイマー形状を明らかにする事が出来た。これには、計画の通り9月に実施したスイス連邦工科大学のヘルマン教授グループへの研究滞在中に充分な議論を行ったことが非常に有益であった。現在これらの結果について論文を準備中である。 また、物性若手夏の学校の招待講演において若手研究者向けに、The 3rd Workshop on Computational and Statistical Physics においてより専門家向けに、それまでの成果について周知に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単体スイマー系の方向制御の問題についてほぼ結果がまとまったので、ほぼ研究計画の通りの進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは方向制御の問題についての論文の投稿・出版にむけての作業を早急に進める予定である。 これと並行して、当初の計画通りスイマー2体間の相互作用についての研究に着手する。具体的には、近接配置されたスイマー間に働く実効的な引力/斥力の、初期相対配置と変形運動の位相差依存性を系統的に調べる。これはスイマーの集団運動の理解の基礎であり、また同時に粉体中の応力の伝搬についての問題そのものでもある。このため、前年度同様のヘルマン教授グループへの訪問に加え国内の粉体研究者との議論と情報交換を行う予定である。 また、最終年度である今年度は論文投稿に加えて国際学会等での成果発表に努める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「Event-Driven 型シミュレーション及び解析用計算機」の導入にあたって候補機材の市場動向を精査した結果、応募時想定より若干安価に必要要件を満たす計算機を整備する事が出来た。また、前年度後半期に予定していた学会での発表を日程の都合により延期する事とした。 このため、次年度の研究費については主に国際学会での研究成果発表に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)