2013 Fiscal Year Research-status Report
ネットワーク構造とダイナミクス:基礎理論と最適なネットワーク構造の解明
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24740258
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
郡 宏 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 准教授 (80435974)
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Keywords | 複雑ネットワーク / 進行波 |
Research Abstract |
25年度は、興奮系素子のネットワークにおける進行波ダイナミクスについて理論研究を行った。興奮子とは、ある程度大きな刺激があったときにだけ一過性の強い活動を示す性質を持つユニットであり、自身だけでは活動することができない。心筋細胞の電気的活動がその好例である。そのような素子の集団では、素子の興奮が次々と連鎖する、いわゆる興奮波が観察される。この興奮波の適切な伝達は心臓の適切な活動に必須である。そこでまず、2次元に並べた興奮子集団に不均一性(興奮しづらい素子との混合系)を加えた系において、興奮波の伝達条件を調べた。興奮性素子としてはフィッツフュー・南雲方程式を用いた。数値シミュレーションの結果、一方向性にしか興奮波が流れない領域が現れ、これにともない、興奮波のループが自発的に形成されることがわかった。この領域を注意深く調べると、興奮しづらい領域の形に典型的なパターンがあることがわかった。このような一方向性伝播とループの形成は、心臓においては不整脈の原因となることが知られており、さらに探求する価値がある。しかし、2次元媒質上で解析的な研究をするのは難しく、そこで、次に、ネットワーク上の興奮子を並べ、伝達の条件を調べた。その結果、素子の接続数によって伝達の可否が決まることがわかった。ケイリーツリーと呼ばれる一様で性質のよいネットワークを仮定し、接続数と結合定数のパラメータ空間において相図を数値的に求めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画されていた複雑ネットワーク上の興奮波の研究が順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は、ネットワーク上の興奮子系における、興奮波伝達の条件を解析的に調べ、これまで得られた数値的な結果を説明することを試みる。 また、振動の正確性を最適化するネットワーク構造の探索を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ハイスペックの計算機が年度末に発売されることがわかっており、購入を次年度にしたため。今年度の研究は現有の計算機でなんとか行うことができた。 計算機や計算ソフトの購入や、データ収集と資料整理のための人件費に主に充てる。また研究成果発表のための旅費に使用する。
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