Research Abstract |
非平衡過程やそれに関連する統計力学の理論を駆使して産業に役立つ技術だけでなく、基礎的数理検討を加えるという研究課題の序盤にあたる本年度では、まず揺らぎの定理と呼ばれる、まれな現象とよくおこる現象の間に成立する揺らぎの定理に注目して基礎的研究を遂行した.揺らぎの定理は確率分布関数の間を結ぶ対称性として注目されるが、従来より知られている双対性と呼ばれる対称性もその解析に有用である事が知られている.その応用範囲を広げて両者の接点を探る研究についても発展させた.また応用上有用な系のひとつにあげられる量子情報科学においては顕著な成果を挙げる事に成功している. ①揺らぎの定理と従来より注目されてきたスピングラス模型における対称性の関係を明らかにした.M. Ohzeki, Phys. Rev. E 86, 061110 (2012) ②一様な系からランダムな構造を持つ系に対して双対性の適用範囲を広げる.M. Ohzeki, and K. Fujii, Phys. Rev. E 86, 051121 (2012) ③②の応用例としてパーコレーション転移点に関する統一理論を導出.M. Ohzeki, Phys. Rev. E 87, 012137 (2013) ④上記の応用例として量子誤り訂正符号による制御技術の提案を行った.K. Fujii, Y. Nakata, M. Ohzeki, and M. Murao, Phys. Rev. Lett. 110, 120502 (2013), M. Ohzeki, Phys. Rev. A 85, 060301(R) (2012), H. Bombin, R. S. Andrist, M. Ohzeki, H. G. Katzgraber and M. Angel Martin-Delgado, Phys. Rev. X, 2 (2012) 021004
|